紫陽花の短編集物語#4
100万回だまされても、君を好きになる。〜星に願いを、嘘にキスを〜
100万回だまされても、君を好きになる。〜星に願いを、嘘にキスを〜
✦ 主な登場人物紹介 ✦
グループ:Luminous(ルミナス)
桜井 美緒 (さくらい みお) / 18歳
•役割: 身代わり新人ボーカル(男装女子)
•性格: 超ピュアで一生懸命。双子の兄・美波の代わりにアイドルに。
•秘密: 女の子であること。男としての振る舞いが下手で、いつも蓮に助けられる(怒られる)。
•一言: 「この場所を守るためなら、100万回だって嘘をつく。」
高木 蓮 (たかぎ れん) / 20歳
•役割: Luminousの絶対的リーダー・天才作曲家
•性格: 完璧主義で極度の潔癖症。性格はトゲだらけだが、実は寂しがり屋。
•秘密: 最初に美緒の正体に気づくが、なぜか放っておけず、日芽香の前で「俺の彼女だ」と嘘をつく。
•一言: 「お前……自分が女だってこと、忘れてんのか?」
藤崎 柊夜 (ふじさき しゅうや) / 20歳
•役割: ギター担当・グループのまとめ役
•性格: 常に冷静沈着。温和で優しい「見守り騎士(ナイト)」。
•秘密: 早くから美緒が女の子だと気づき、密かに恋心を抱く。蓮への嫉妬を隠して微笑んでいる。
•一言: 「無理しなくていいよ。君の本当の姿、僕は知ってるから。」
本郷 優 (ほんごう ゆう) / 19歳
•役割: ドラム担当・愛されムードメーカー
•性格: 天真爛漫で直感的。明るいけれど、少し天然。
•秘密: 美緒を男だと思い込んだまま、ドキドキしてしまう自分に「俺、変な病気かも…」と大パニック中。
•一言: 「美緒!お前といると、心臓が爆発しそうなんだけど!」
姫山 日芽香 (ひめやま ひめか) / 19歳
•役割: 「国民の妖精」と呼ばれるトップソロ歌手
•性格: 表向きは天使、裏の顔は傲慢な女王。欲しいものは手段を選ばず手に入れる。
•秘密: 蓮に片想い中。美緒の正体を見破り、それをネタに蓮に「偽装恋人」になるよう脅迫する。
•一言: 「ねえ蓮、私と恋人のフリをするか、あの子を消すか。どっちがいい?」
※ロング動画で作成する。
※1話30分×10本=5時間
第1話:嘘の始まりは、星降る夜に。
〇オープニング:ライブ会場・バックステージ
まばゆいスポットライト。地鳴りのような歓声。
人気絶頂のグループ「Luminous」のステージ。
しかし、ステージの袖で一人、ガタガタと震えている美緒。
短く切った髪、慣れないメンズの衣装。
マネージャー(安藤):「いいか美緒、お前は今日から『美波』だ。一言も喋るな、ただ歌え。兄貴の才能を腐らせるなよ!」
美緒:「(震え声で)……はい、安藤さん。」
〇ステージ上
蓮、柊夜、優の3人が激しくパフォーマンスしている。
そこに「4人目のメンバー」として美緒(美波として)が加わる。
美緒がマイクを握り、透き通るようなハイトーンボイスを響かせる。
一瞬、蓮が驚いたように美緒を振り返る。
〇数時間後:Luminous専用マンション・リビング
ライブを終え、疲れ果てたメンバーたち。
優:「いや〜! 新入りの美波、歌ヤバくね!?顔も可愛いし、俺ちょっと惚れちゃいそう!」 柊夜:「(美緒を優しく見つめ)お疲れ様。急な参加で大変だったね。」
美緒:「(低い声を意識して)あ、ありがとうございます……あ、いや、あざっす!」
そこへ、リーダーの蓮がゆっくりと近づいてくる。
蓮は美緒の顔を至近距離で覗き込み、鼻を鳴らす。
蓮:「……お前。どこの馬の骨か知らねえが、俺の隣で歌うなら死ぬ気でやれ。あと、その女みたいな匂い……ヘドが出る。二度と俺に近づくな。」
美緒:「(絶句)……!」
〇深夜:ベランダ
美緒、一人で星空を見上げている。
美緒:「(独り言)お兄ちゃん……私、やっていけるかな。あんな怖い人がリーダーなんて……」
そこへ、酔っ払った優がフラフラと現れる。
優:「あ! 美波〜! 歓迎会しよーぜ〜!」
美緒に抱きつこうとする優。慌てて逃げようとした美緒は、バランスを崩してプール(または噴水)に落ちそうになる。
それをガシッと掴んだのは、偶然通りかかった蓮だった。
しかし、勢い余って二人は重なるようにして床に倒れ込む。
美緒:「(蓮の胸の中で)……っ!」
蓮:「(美緒の体の柔らかさに違和感を覚える)……おい。お前、この体……」
美緒の胸元から、隠していたお守り(兄との思い出)がこぼれ落ちる。
蓮が美緒を突き飛ばし、鋭い視線を向ける。
蓮:「お前……まさか……」
その時、マンションのインターホンが鳴り響く。
モニターに映っているのは、派手なサングラスをかけた姫山日芽香。
日芽香(声):「蓮くーん!遊びに来ちゃった。開けて?」
美緒の正体がバレる寸前、最悪のタイミングで「自称・彼女」の日芽香が襲来する――。
【次回予告:第2話】
「あんた、新入り?……ふーん、生意気な顔。」
日芽香の洗礼が美緒を襲う!そして蓮が下した「ある決断」とは!?
第2話:天使の仮面を被った悪女
〇マンション・エントランス(前回の続き)
モニターに映る日芽香の姿に、凍り付く美緒。
蓮は美緒の肩を掴んだまま、その華奢な体つきに確信を持つ。
蓮:「(耳元で低く)お前……女か?」
美緒:「(震えながら)……ち、違います。僕は美波で……」
蓮:「黙れ。後でたっぷり吐かせてやる。……今はあいつを追い返すのが先だ。」
蓮は乱れた服を整え、ドアを開ける。
〇リビング
華やかなオーラを纏い、リビングに入ってくる日芽香。
日芽香:「蓮くーん! ライブお疲れ様。……あら、誰? その子」
日芽香の視線が、美緒を射抜く。美緒は思わず目を逸らす。
蓮:「新入りの美波だ。挨拶しろ。」
美緒:「(必死に男声を出しながら)さ、桜井美波です。よろしくお願いします……っ」
日芽香:「(美緒にゆっくり近づき、顎をクイッと持ち上げる)ふーん。綺麗な顔。女の子みたいね。……ねえ、あんた。私と蓮くんが付き合ってるの、知ってるわよね?」
柊夜と優が慌てて割って入る。
柊夜:「日芽香ちゃん、夜分に失礼だよ。彼は疲れてるんだ。」
優:「そうだよ! 日芽香ちゃん、相変わらず派手だね〜!」
日芽香は二人を無視し、蓮の腕にべったりと抱きつく。
日芽香:「いいじゃない、家族みたいなもんでしょ?ね、蓮くん。明日、デートの続きしよ?」
蓮は冷めた目で日芽香を見つめ、美緒を指差す。
蓮:「悪いが明日は、この新入りの教育係で忙しいんだ。……帰れ。」
〇翌日・レッスン室
蓮と美緒、二人きり。 蓮は美緒を壁に追い詰め、逃げ場をなくす。
蓮:「昨日のはぐらかせると思ったか。……服を脱げ。」
美緒:「えっ!?……い、嫌です! 何するんですか!」
蓮:「男なら脱げるだろ。それとも……俺が脱がせて確認してやろうか?」
美緒の目に涙が溜まる。覚悟を決めた美緒は、震える手でシャツのボタンに手をかける。
その時、ドアが勢いよく開く。
日芽香:「蓮くーん!差し入れ……って、何してるの?」
日芽香は、蓮が美緒を押し倒しているように見える状況を目撃する。
日芽香:「(一瞬驚くが、すぐに妖しく微笑む)……あは。そういうこと? 蓮くん、あんなに女嫌いだったのに……まさか『男』が趣味になったの?」
蓮:「……チッ。日芽香、これは……」
日芽香:「いいわよ、面白そうじゃない。でも、私の『表向きの彼氏』でいてもらわないと困るの。……このことがバレたくなかったら、明日からのスキャンダル、協力してね?」
日芽香は、怯える美緒の耳元でささやく。
日芽香:「あんた、いい餌(エサ)を見つけたわね。……壊しがいがありそう。」
美緒は、この「嘘」の連鎖から逃げられないことを悟る――。
【次回予告:第3話】
日芽香の「偽装デート」に同行させられる美緒!
見せつけられるキス(!?)に、なぜか胸がズキズキ痛んで……
「私……どうしてこんなに苦しいの?」
第3話:隠しきれない、胸の高鳴り。
〇都内・高級セレクトショップ
日芽香の「偽装デート」のスキャンダル写真を撮らせるため、荷物持ちとして無理やり同行させられた美緒。 蓮と日芽香が腕を組んで歩く後ろを、大量の紙袋を持って歩く。
日芽香:「ねえ蓮くん、あっちの指輪も見ていい?……ほら、美波くん! ぼーっとしない。さっさと歩きなさいよ」
美緒:「(重い荷物にふらつきながら)……すみません、今行きます!」
蓮は日芽香と話しつつも、チラチラと後ろの美緒を気にしている。
美緒が階段でつまずきそうになった瞬間、蓮が日芽香の手を振りほどいて美緒の腕を掴む。
蓮:「おい、ドジ。……半分貸せ。男のくせに細すぎんだよ」
美緒:「えっ、でも……」
蓮:「いいから。……日芽香、買い物はもう終わりだ。帰るぞ」
不機嫌になる日芽香を無視して、蓮は美緒の荷物を奪い取る。
その大きな手に触れた瞬間、美緒の心臓がドクンと跳ねる。
〇夕暮れの公園・車内
日芽香を送り届けた後、車内には蓮と美緒の二人きり。
蓮:「……お前、なんであいつに言われるがままなんだよ。言い返せばいいだろ」
美緒:「だって、私は偽物ですから。……お兄ちゃんのフリをして、Luminousに迷惑をかけてる。日芽香さんに正体がバレたら、全部終わっちゃうから……」
美緒の瞳に涙が浮かぶ。蓮は舌打ちをして、乱暴に美緒の頭を撫でる。
蓮:「終わらせねえよ。俺が……バレないようにしてやるって言ってるだろ。お前は、ただ俺のそばにいろ」
その言葉と、髪に触れる蓮の熱い手のひら。
美緒は自分の胸の鼓動が、恐怖ではなく「恋」によるものだと気づき、顔が真っ赤になる。
〇夜・Luminousマンションの廊下
部屋に戻ろうとする美緒を、柊夜が呼び止める。
柊夜:「美……、あ、いや、美波くん。今日、大丈夫だった?……日芽香ちゃん、結構きつかったでしょ」
柊夜は優しく美緒の頬に手を添える。
その目つきは、明らかに「男友達」に向けるものではない。
柊夜:「無理して笑わなくていいんだよ。僕は、君が泣きそうな顔してるの、気づいてるから」
その様子を、物陰から見ていた蓮。 蓮は無意識に拳を強く握りしめる。
〇ラスト:蓮の自室
一人になった蓮が、ピアノに向かっている。
しかし、メロディが浮かばない。浮かんでくるのは、美緒の泣き出しそうな顔と、柊夜と見つめ合う姿ばかり。
蓮:「……クソ。なんでアイツばっかり……」
蓮がピアノを叩きつけるように鳴らす。
その頃、美緒は自分のベッドで胸を押さえていた。
美緒:「(心の声)だめだよ。私は男の子としてここにいるのに……こんなの、好きになっちゃダメなのに……っ」
【次回予告:第4話】
日芽香の怒りが爆発!
「私をコケにするなら、あの新入りの秘密、バラしてあげる」
日芽香が仕掛けた「偽装恋人」の公開キスイベント!?
追い詰められた蓮が、カメラの前で取った行動とは――!
第4話:偽装恋人の甘い罠
〇大型ショッピングモール・特設ステージ
Luminousと姫山日芽香の合同新曲発表イベント。
数千人のファンが詰めかけ、熱気に包まれている。
舞台袖で、日芽香が蓮に不敵な笑みを浮かべる。
日芽香:「ねえ蓮くん。今日のエンディング、ファンの前で私にキスして。そうすれば『男の子が好き』なんて噂、一瞬で消えるわよ?」
蓮:「……ふざけるな。そんな台本、聞いてない。」
日芽香:「あら、拒否するの? じゃあ、そこの『美波くん』に今すぐここで服を脱いでもらおうかしら。マスコミもたくさん来てることだし……」
横で震える美緒。蓮は日芽香を睨みつけるが、彼女の目は本気だ。
〇ステージ上・本番
ライブは大盛況。
しかし、美緒は日芽香の言葉が頭から離れず、ダンスのステップを間違えてしまう。
転びそうになった美緒を、すかさず柊夜が抱きとめる。
柊夜:「(耳元で)集中して。君は僕が守るから。」
客席からは悲鳴のような歓声が上がる。それを見た蓮の心に、激しい焦りと嫉妬が走る。
〇エンディング・MC
ついに運命の瞬間。日芽香がマイクを通し、ファンに向かって宣言する。
日芽香:「皆さん、今日は大事な報告があります。私、高木蓮くんと――」
日芽香が蓮の首に手を回し、顔を近づける。シャッター音が鳴り響く。
美緒は耐えられず、思わず目を逸らした。 その時――
蓮:「……悪いが、それはできない。」
蓮が日芽香の手を振り払い、隣にいた美緒の腕を掴んで自分の方へ引き寄せた。
会場が静まり返る。
蓮:「俺が本当に大切にしたいのは――こいつ(美波)だ。」
蓮は美緒を強く抱き寄せ、あえてマスコミのカメラに向かって「宣戦布告」する。
それは、美緒の正体を隠すための嘘か、それとも本心か。
〇楽屋裏
イベント終了後、荒れ狂う日芽香。
日芽香:「蓮! あんた正気!? あんなこと言ったら、あんたたち終わりよ!」
蓮:「……終わらせるかどうかは、俺が決める。」
蓮は美緒を連れて、足早に車へ向かう。
車内で震えが止まらない美緒を、蓮は静かに見つめる。
美緒:「蓮さん……どうしてあんなこと……これじゃ、本当に変な噂が……」
蓮:「(美緒を真っ直ぐ見て)……変な噂じゃない。俺が今、一番守りたいのはお前だ。」
美緒の頬を、蓮の指がそっとなぞる。 その様子を車の外から、複雑な表情で見つめる柊夜。
【次回予告:第5話】
世間は「蓮と美波の禁断の仲」で大騒ぎ!
そんな中、柊夜がついに美緒に自分の想いを告げる。
「蓮じゃなくて、僕を選んで。……美緒。」
雨の中で、ついに柊夜が美緒を抱きしめる――!
第5話:騎士の告白、雨の向こう側
〇Luminousマンション・リビング
前日の「衝撃の宣言」により、ネットニュースはLuminousの話題で持ちきり。
優:「ちょっと待ってよ蓮くん! 美波が一番大切って……それ、どういう意味!? 俺も美波のこと大好きだけどさ!」
蓮:「そのままの意味だ。……お前は黙ってろ」
蓮は不機嫌そうにコーヒーを飲み干し、部屋へ戻ってしまう。
一人残された美緒に、柊夜が静かに近づく。
柊夜:「美波くん……。少し、外の空気吸いに行かないか?」
〇夜の公園・ベンチ
小雨が降り始める中、二人は屋根のあるベンチに座る。
柊夜:「蓮のやり方は強引すぎる。……君を正体バレの危険にさらして、自分の独占欲を満たしてるだけだ」
美緒:「そんなこと……!蓮さんは、私を守ろうとしてくれたんです」
柊夜:「(美緒を真っ直ぐ見つめて)本当にそうかな。……僕は、君が女の子だって気づいた時から、ずっと君が傷つかない方法を考えてきた」
美緒が目を見開く。
美緒「えっ……気づいて……?」
柊夜:「……気づいてるよ、美緒。初めて会った時から、ずっと。」
柊夜は美緒の肩を引き寄せ、優しく抱きしめる。
柊夜:「もう嘘をつかなくていい。……蓮のそばにいたら、君はいつか壊れる。僕のところに来て。僕なら、君を『女の子』として幸せにできる」
〇雨の中の対峙
二人の姿を、傘も差さずに立っていた蓮が見ていた。
蓮:「……離せよ。柊夜」
激しい雨の中、蓮がゆっくりと近づいてくる。
柊夜:「蓮。君に彼女を幸せにする資格はない。日芽香ちゃんとの嘘も、この男装の嘘も、全部君が背負わせてるんだ」
蓮:「黙れ。こいつをどうするかは、俺が決める。……おい、美緒。来い」
蓮が手を差し出す。しかし、柊夜は美緒を離さない。 美緒は二人の間で激しく揺れ動く。 美緒:「(心の声)蓮さんのそばにいたい。でも、私は『美波』としてここにいなきゃいけないのに……柊夜さんの優しさが、痛いよ……」
〇翌朝・テレビ局の廊下
そんな中、日芽香が美緒を待ち伏せしていた。
日芽香:「(冷たい笑み)へぇ。二人の男に守られて、いい身分ね。でも、そろそろ終わらせてあげる。……あんたの兄さん、美波の『本当の居場所』、見つけちゃったから」
日芽香がスマホの画面を美緒に見せる。
そこには、海外の病院で眠る本物の美波の写真が……。
【次回予告:第6話】
日芽香の次なる一手は、本物の「美波」を公の場に引きずり出すこと!?
「あんたの代わりなんて、いくらでもいるのよ」
ついに美緒の正体が、最悪の形で晒される瞬間が近づく――!
第6話:崩れゆくステージ
〇大型歌番組・バックステージ
今日はLuminousが新曲を披露する生放送当日。
美緒は、日芽香に見せられた「兄・美波」の写真が頭から離れず、手が震えている。
安藤マネージャー:「美波、顔色が悪いぞ。しっかりしろ、今日は生放送だ!」
美緒:「……はい。大丈夫です……」
そこへ、ドレスアップした日芽香が通りかかる。
日芽香:「(耳元で)せいぜい頑張りなさい。今日のステージが、あなたの『お葬式』になるんだから」
〇本番直前・衣装部屋
美緒が衣装に着替えようと、一人で個室に入った瞬間。
突然、スタッフのフリをした男たちが乱入し、美緒の個室のカーテンを無理やり引き開ける。 そこには、日芽香に雇われたカメラマンたちが待ち構えていた。
美緒:「えっ、何……やめて! 来ないで!」
美緒は必死に胸元を隠すが、男装用のさらしを巻いた姿を執拗にフラッシュが焚かれる。
〇ステージ上・生放送開始
異変を知らない蓮、柊夜、優の3人がステージに上がる。
しかし、美緒が現れない。イントロが流れ始める中、会場がざわつき出す。
優:「美波!? どこだよ!」
柊夜:「(不吉な予感に顔を歪める)……まさか」
その時、会場の巨大スクリーンに、先ほど楽屋で撮られた「泣き叫びながら正体を隠そうとする美緒」の映像と写真が映し出される。 観客席から悲鳴と怒号が上がる。
日芽香(モニター越しのナレーション):「皆さん、騙されないで。Luminousの新メンバーは、男のフリをした大嘘つきの『女』よ!」
〇楽屋廊下
パニックになり、裸足で逃げ出す美緒。
スタッフやマスコミに囲まれ、出口を塞がれる。
「君、女の子なの!?」「ファンを騙して楽しいか!?」
そこへ、ステージを飛び出してきた蓮が、マスコミをなぎ倒して割って入る。
蓮は自分のジャケットを脱ぎ、震える美緒を包み込むように強く抱きしめた。
蓮:「どけ……。こいつに触るな!」
マスコミ:「あなたたちは知っていたんですか!? 詐欺ですよ!」
蓮:「(カメラを睨みつけて)詐欺だろうがなんだろうが構わねえ。……俺が、この女をここにいさせたんだ。文句があるなら、俺に言え!」
優「美波は僕たちのためにたくさん努力してくれた!」
終夜「今までやってきたことには間違いはない!」
蓮は美緒を横抱き(お姫様抱っこ)にし、何百ものフラッシュの中を突き進んでいく。
その様子を、勝ち誇った顔で眺める日芽香。
〇車内
安藤マネージャーが運転する車に乗り込む二人。 美緒は声を殺して泣き続けている。
美緒:「ごめんなさい……私のせいで、Luminousも、蓮さんも、全部めちゃくちゃに……」
蓮:「……めちゃくちゃになんてなってねえよ。これでやっと、お前を『お前』として呼べる。」
蓮の言葉とは裏腹に、スマホには「Luminous解散の危機」という文字が躍り始める――。
【次回予告:第7話】
世間からの猛烈なバッシング。活動休止に追い込まれるLuminous。
「私さえいなければ……」 美緒は一人、姿を消す決意をする。
しかし、そんな彼女の前に、日芽香が最後の冷酷な条件を突きつける!
第7話:100万回だまされても、君がほしい。
〇活動休止中の隠れ家(郊外の別荘)
世間は大炎上。
「詐欺アイドル」というレッテルを貼られ、Luminousはすべての活動をストップしていた。 美緒は責任を感じ、一睡もできずに別荘の隅で膝を抱えている。
優:「……美波、いや、美緒ちゃん。ご飯、少しでも食べなよ」
いつも明るい優も、どこか元気がない。
柊夜:「今は何を言っても届かないかもしれないけど……君がいなくなることが、僕らにとって一番のダメージなんだよ」
〇別荘の庭・深夜
美緒は一人、荷物をまとめて別荘を抜け出そうとする。
美緒「これ以上、みんなの夢を壊したくない……」
しかし、門のところで待っていたのは蓮だった。
蓮:「どこへ行く。また逃げるのか?」
美緒:「蓮さん……。私、もうここにいちゃいけないんです。私がいるだけで、Luminousの名前が汚れていく……」
蓮:「汚れたら、また磨けばいいだろ。……俺は、お前が男だろうが女だろうが、どうでもよかったんだ。ただ、お前の歌が好きで、お前が隣にいないと曲が書けない……それだけだ」
蓮は美緒の手を強く握る。
蓮:「100万回だまされたって、俺はお前を選ぶ。……だから、勝手にいなくなるな」
〇日芽香の事務所
翌日、美緒は一人で日芽香のもとを訪ねる。
日芽香:「あら、まだ日本にいたの? 早く消えてくれないと、Luminousの違約金、もっと増えるわよ」
美緒:「……どうすれば、Luminousを助けてくれますか? 何でもします」
日芽香は冷酷に笑い、一枚の契約書を差し出す。
日芽香:「じゃあ、引退会見を開きなさい。そこで『蓮を誘惑して、無理やりメンバーに入り込んだ』って嘘をつくの。彼らを被害者にして、あんた一人で泥を被りなさい。……そうすれば、Luminousは救ってあげる。全部自分で責任を償うのよ‼」
〇別荘・蓮の部屋
戻ってきた美緒は、蓮に嘘をつく。
美緒:「……蓮さん。私、やっぱりアイドルに向いてませんでした。全部、お金のためだったんです。……さようなら」
冷たく言い放ち、部屋を出る美緒。 しかし、蓮はその目を見ていた。
蓮:「……下手くそな嘘つくなよ。……お前、日芽香に何を言われた?」
美緒を追いかけようとする蓮。
しかしその時、玄関に現れたのは……。髪を少し伸ばし、病色ながらも美緒と瓜二つの顔をした青年 本物の、桜井美波だった。
美波:「……僕のせいで、妹を泣かせたのはどこのどいつだ?」
【次回予告:第8話】
ついに本物の「美波」が帰還!
「僕の代わりは、誰にもさせない。……妹(美緒)を返してもらうよ」
Luminousに最大の激震が走る!
蓮と美波、美緒を巡る真剣勝負!?
第8話:本物の「美波」が帰ってくる日
〇別荘・エントランス
静まり返る一同。そこに立っていたのは、美緒と全く同じ顔、しかしどこか鋭く危ういオーラを放つ青年・本物の桜井美波だった。
美緒:「お兄ちゃん……! 起きたの……?」
美波:「(美緒を抱き寄せ、蓮を睨みつける)……ああ。妹が酷い目に遭ってるって聞いて、寝てられなくてね。おい、あんたがリーダーの高木蓮か。うちの妹を『身代わり』にして、挙句の果てに晒し者にしたのは……あんただろ?」
蓮は一歩も引かず、美波を見返す。
蓮:「……身代わりを頼んだのはマネージャーだ。だが、こいつを守れなかったのは……俺の責任だ。それは認める」
〇リビング・話し合い
美波はソファーに深く腰掛け、足を組む。
美波:「僕が戻った以上、美緒がここにいる必要はない。今日、美緒を連れて帰る。Luminousの穴は僕が埋める。それで文句ないだろ?」
優:「えっ、でも……美波くん、体は大丈夫なの?」
美波:「死ぬ気でリハビリしたよ。……それに、これ以上あのお姫様(日芽香)に妹をいじめさせるわけにはいかないからね」
柊夜が冷静に問いかける。
柊夜:「美波くん。君が戻ればグループは救われるかもしれない。でも……美緒の気持ちはどうなるんだ?」
美波は隣で俯く美緒を見る。美緒は蓮の顔を見ることができない。
〇夜・別荘のバルコニー
美緒が一人で風に当たっていると、蓮がやってくる。
蓮:「……本当に行くのか。あいつと一緒に」
美緒:「お兄ちゃんがいれば、私はもう必要ありません。……それが一番、みんなにとっていいはずなんです」
蓮:「勝手に決めるな! ……俺は、美波(兄)の歌を待ってたはずだった。でも、今は違う。……俺が歌いたいのは、お前(美緒)がいるLuminousだ」
蓮は美緒の手を掴み、自分の心臓の上に当てる。
蓮:「ここが、お前を離すなって言ってるんだよ……!」
〇テレビ局・ロビー
翌日。美波が復帰の挨拶のために日芽香の前に現れる。
日芽香:「あら、本物のお出まし? でも、もう遅いわよ。美緒の引退会見、もうセッティングしちゃったもの。彼女が泥を被らなきゃ、Luminousは解雇よ」
美波:「(日芽香の耳元で冷たく笑う)……日芽香ちゃん、君の弱み、僕が握ってるの忘れた? 君が昔、海外で何してたか……世間にバレたら、『国民の妖精』は即終了だよね」
日芽香の顔が真っ青に引きつる。美波の「毒」が、初めて日芽香を圧倒する。
〇ラスト:美緒の部屋
荷物をまとめ終えた美緒。そこへ蓮が入ってくる。
蓮:「……最後だ。お前に一つだけ、嘘じゃない『願い』を教える。」
蓮は美緒を引き寄せ、耳元でささやく。
蓮:「……俺のところへ、戻ってこい。必ずだ。」
美緒は涙を流しながら、兄・美波と共に車に乗り込む――。
【次回予告:第9話】
美波の復帰ライブが決定!
しかし、それは美緒との「本当の別れ」を意味していた。
「最後に一度だけ、私のワガママ、聞いていいですか?」
星降る夜、美緒が蓮に捧げる、最後の「嘘」と「キス」。
第9話:星に願いを、嘘にキスを。
〇ライブ前夜:Luminousマンション・屋上
明日は本物の美波としての復帰ステージであり、美緒が表舞台から永遠に姿を消す日。
美緒は一人、夜空を見上げている。そこに、リハーサルを終えた蓮が現れる。
蓮:「……明日が終われば、お前は本当に『ただの女の子』に戻るんだな」
美緒:「(寂しげに笑って)はい。お兄ちゃんが完璧に歌ってくれました。私の居場所は、もうあそこにはありません」
蓮:「居場所ならここにある。……俺の横だ」
蓮はポケットから、星の形をした小さなピンキーリングを取り出し、美緒の指にはめる。
蓮:「これは俺からの『嘘』だ。お前はただのファンだ。俺とは何の関係もない。……そう自分に言い聞かせて、これを着けてろ。そうすれば、いつか俺が迎えに行っても、誰にも怪しまれないだろ?」
美緒は溢れる涙を止められない。
〇ライブ当日:会場・バックステージ
本番5分前。美波が衣装に身を包み、ステージ袖に立つ。
美緒はスタッフのフリをして、影から兄を見守っている。
そこへ、追い詰められた日芽香がやってくる。
美波に弱みを握られた彼女は、もう以前のような余裕はない。
日芽香:「……蓮くんを、あの子に取られるくらいなら、全部壊してやるわ」
日芽香はステージの照明機材に細工をしようとするが、それに気づいた美緒が止めに入る。
美緒:「日芽香さん、もうやめてください! 嘘で塗り固めても、誰も幸せになれない!」
日芽香:「うるさい! あんたさえいなければ……!」
揉み合う二人。その時、不安定だった照明機材が、美緒の方へ倒れかかってくる。
〇ステージ袖・決死の救出
蓮:「美緒――!!」
間一髪、蓮が美緒を突き飛ばし、自らが下敷きになる。
騒然となる現場。美波、柊夜、優が駆け寄る。
蓮:「(苦しそうに微笑みながら)……っ。おい、美緒……泣くな。俺の……ピアノを弾く手は、無事だ……」
美緒:「蓮さん! どうして……私のために……!」
〇救急車の中
意識が遠のきかける蓮を、美緒が必死に励ます。
美緒:「蓮さん、起きてください! 私、まだちゃんと言ってないんです……大好きだって、100万回だまされても、あなたを好きになるって……!」
蓮は力なく美緒の首を引き寄せ、最後の力を振り絞って唇を重ねる。
それは、誰にも見られない車内での、最初で最後の「嘘」のないキスだった。
蓮:「……願いは……叶ったな。」
そのまま、蓮はゆっくりと目を閉じる。
【次回予告:最終話(第10話)】
「俺たちのセンターは、今日から二人だ。」
蓮の怪我、日芽香の失脚、そしてLuminousが選ぶ「最大の嘘」。
世界中をだまし抜いた先にある、美緒と蓮の結末とは――。
最終話:世界中をだまして、君と恋をする。
〇病院・一ヶ月後
蓮の怪我は幸い命に別状はなく、懸命なリハビリによりピアノが弾けるまで回復していた。 その傍らには、男装を解き、本来の姿に戻った美緒がいる。
蓮:「……おい、その格好でウロウロするな。誰かに見られたらどうする」
美緒:「もう大丈夫ですよ。今日は、みんなに『大事なお話』があるって集まってもらったんですから」
部屋には、美波、柊夜、優、そして謹慎処分を受けた日芽香もいた。
〇Luminous 復活ライブ・特設会見場
Luminousの活動再開ライブの直前、メンバーがカメラの前に立つ。
世界中の注目が集まる中、リーダーの蓮がマイクを握る。
蓮:「皆さんに、最後にして最大の嘘をつきます。……先日までここにいた『桜井美波』は双子の妹の『美緒』でした。彼女は兄を想い、俺たちを救うために自分を殺して歌っていた。……そして俺は、そんな彼女を、僕は心から愛しています」
会場にどよめきが走る。しかし、蓮は続ける。
蓮:「今日からLuminousは、本物の美波を加えた『最強の4人』で再始動する。……そして、桜井美緒は、俺の専属の作曲アシスタントとして、一生俺の隣にいてもらう。……文句がある奴は、俺たちの音楽を聴いてから言え!」
〇ステージ上・ラストライブ
本物の美波の歌声、柊夜の優しいギター、優の力強いドラム、そして蓮の奏でるピアノ。
4人のLuminousが、かつてない輝きを放つ。
ステージ袖で見守る美緒に、蓮が演奏しながら一瞬だけ視線を送る。
その指には、あの夜に交わした「星のリング」が光っていた。
〇数年後:星空の見える教会
日芽香は過去の過ちを認め、実力派歌手として再起していた。
彼女から届いた祝電を手に、美緒は白いドレスに身を包んでいる。
柊夜:「……本当は、僕がその隣にいたかったけどね。幸せになりなよ、美緒」
優:「美緒ちゃん、世界一綺麗だよ!」
美波:「……おい高木。妹を泣かせたら、今度こそ僕がLuminousを乗っ取るからな」
タキシード姿の蓮が「幸せにするに決まってる」という顔で頷いている。
蓮は美緒の手を取り、優しく微笑む。
蓮:「準備はいいか。……これから、一生続く『幸せな嘘』を始めよう」
美緒:「はい! 100万回だまされても、私はずっと、蓮さんのことを好きでいます!」
蓮「……⁉ あのな、お前、そんなことを簡単に言うんじゃない‼」
美緒「か、簡単じゃないです‼ 勇気を振り絞っ……⁉」
その瞬間、蓮が美緒の唇に自分の唇を重ねる。二人は満天の星空の下誓いのキスを交わした。
蓮「今までは言えなかったが、これからは何度だっていう。美緒を愛してる!」
美緒「私も! 蓮を愛してる!」
美緒が蓮のほほにキスをする。蓮は、初めての呼び捨てとキスに戸惑い、照れる。
美緒「蓮さん、照れてます?」
蓮「照れてない! あ、なんだ! 呼び捨ては1回だけか?」
美緒「たま~~~~~~~~~~に呼んであげますよ!」
蓮「そうか。その日を心の底から待ってるからな!」
美緒「ええ、待っててくださいね!」
ふたりは楽しそうに笑顔で永遠に会話をしている。
BGMが流れ、星空が映し出される。タイトルロゴが重なり、物語は幕を閉じる。
『100万回だまされても、君を好きになる。〜星に願いを、嘘にキスを〜』――完
✦ 主な登場人物紹介 ✦
グループ:Luminous(ルミナス)
桜井 美緒 (さくらい みお) / 18歳
•役割: 身代わり新人ボーカル(男装女子)
•性格: 超ピュアで一生懸命。双子の兄・美波の代わりにアイドルに。
•秘密: 女の子であること。男としての振る舞いが下手で、いつも蓮に助けられる(怒られる)。
•一言: 「この場所を守るためなら、100万回だって嘘をつく。」
高木 蓮 (たかぎ れん) / 20歳
•役割: Luminousの絶対的リーダー・天才作曲家
•性格: 完璧主義で極度の潔癖症。性格はトゲだらけだが、実は寂しがり屋。
•秘密: 最初に美緒の正体に気づくが、なぜか放っておけず、日芽香の前で「俺の彼女だ」と嘘をつく。
•一言: 「お前……自分が女だってこと、忘れてんのか?」
藤崎 柊夜 (ふじさき しゅうや) / 20歳
•役割: ギター担当・グループのまとめ役
•性格: 常に冷静沈着。温和で優しい「見守り騎士(ナイト)」。
•秘密: 早くから美緒が女の子だと気づき、密かに恋心を抱く。蓮への嫉妬を隠して微笑んでいる。
•一言: 「無理しなくていいよ。君の本当の姿、僕は知ってるから。」
本郷 優 (ほんごう ゆう) / 19歳
•役割: ドラム担当・愛されムードメーカー
•性格: 天真爛漫で直感的。明るいけれど、少し天然。
•秘密: 美緒を男だと思い込んだまま、ドキドキしてしまう自分に「俺、変な病気かも…」と大パニック中。
•一言: 「美緒!お前といると、心臓が爆発しそうなんだけど!」
姫山 日芽香 (ひめやま ひめか) / 19歳
•役割: 「国民の妖精」と呼ばれるトップソロ歌手
•性格: 表向きは天使、裏の顔は傲慢な女王。欲しいものは手段を選ばず手に入れる。
•秘密: 蓮に片想い中。美緒の正体を見破り、それをネタに蓮に「偽装恋人」になるよう脅迫する。
•一言: 「ねえ蓮、私と恋人のフリをするか、あの子を消すか。どっちがいい?」
※ロング動画で作成する。
※1話30分×10本=5時間
第1話:嘘の始まりは、星降る夜に。
〇オープニング:ライブ会場・バックステージ
まばゆいスポットライト。地鳴りのような歓声。
人気絶頂のグループ「Luminous」のステージ。
しかし、ステージの袖で一人、ガタガタと震えている美緒。
短く切った髪、慣れないメンズの衣装。
マネージャー(安藤):「いいか美緒、お前は今日から『美波』だ。一言も喋るな、ただ歌え。兄貴の才能を腐らせるなよ!」
美緒:「(震え声で)……はい、安藤さん。」
〇ステージ上
蓮、柊夜、優の3人が激しくパフォーマンスしている。
そこに「4人目のメンバー」として美緒(美波として)が加わる。
美緒がマイクを握り、透き通るようなハイトーンボイスを響かせる。
一瞬、蓮が驚いたように美緒を振り返る。
〇数時間後:Luminous専用マンション・リビング
ライブを終え、疲れ果てたメンバーたち。
優:「いや〜! 新入りの美波、歌ヤバくね!?顔も可愛いし、俺ちょっと惚れちゃいそう!」 柊夜:「(美緒を優しく見つめ)お疲れ様。急な参加で大変だったね。」
美緒:「(低い声を意識して)あ、ありがとうございます……あ、いや、あざっす!」
そこへ、リーダーの蓮がゆっくりと近づいてくる。
蓮は美緒の顔を至近距離で覗き込み、鼻を鳴らす。
蓮:「……お前。どこの馬の骨か知らねえが、俺の隣で歌うなら死ぬ気でやれ。あと、その女みたいな匂い……ヘドが出る。二度と俺に近づくな。」
美緒:「(絶句)……!」
〇深夜:ベランダ
美緒、一人で星空を見上げている。
美緒:「(独り言)お兄ちゃん……私、やっていけるかな。あんな怖い人がリーダーなんて……」
そこへ、酔っ払った優がフラフラと現れる。
優:「あ! 美波〜! 歓迎会しよーぜ〜!」
美緒に抱きつこうとする優。慌てて逃げようとした美緒は、バランスを崩してプール(または噴水)に落ちそうになる。
それをガシッと掴んだのは、偶然通りかかった蓮だった。
しかし、勢い余って二人は重なるようにして床に倒れ込む。
美緒:「(蓮の胸の中で)……っ!」
蓮:「(美緒の体の柔らかさに違和感を覚える)……おい。お前、この体……」
美緒の胸元から、隠していたお守り(兄との思い出)がこぼれ落ちる。
蓮が美緒を突き飛ばし、鋭い視線を向ける。
蓮:「お前……まさか……」
その時、マンションのインターホンが鳴り響く。
モニターに映っているのは、派手なサングラスをかけた姫山日芽香。
日芽香(声):「蓮くーん!遊びに来ちゃった。開けて?」
美緒の正体がバレる寸前、最悪のタイミングで「自称・彼女」の日芽香が襲来する――。
【次回予告:第2話】
「あんた、新入り?……ふーん、生意気な顔。」
日芽香の洗礼が美緒を襲う!そして蓮が下した「ある決断」とは!?
第2話:天使の仮面を被った悪女
〇マンション・エントランス(前回の続き)
モニターに映る日芽香の姿に、凍り付く美緒。
蓮は美緒の肩を掴んだまま、その華奢な体つきに確信を持つ。
蓮:「(耳元で低く)お前……女か?」
美緒:「(震えながら)……ち、違います。僕は美波で……」
蓮:「黙れ。後でたっぷり吐かせてやる。……今はあいつを追い返すのが先だ。」
蓮は乱れた服を整え、ドアを開ける。
〇リビング
華やかなオーラを纏い、リビングに入ってくる日芽香。
日芽香:「蓮くーん! ライブお疲れ様。……あら、誰? その子」
日芽香の視線が、美緒を射抜く。美緒は思わず目を逸らす。
蓮:「新入りの美波だ。挨拶しろ。」
美緒:「(必死に男声を出しながら)さ、桜井美波です。よろしくお願いします……っ」
日芽香:「(美緒にゆっくり近づき、顎をクイッと持ち上げる)ふーん。綺麗な顔。女の子みたいね。……ねえ、あんた。私と蓮くんが付き合ってるの、知ってるわよね?」
柊夜と優が慌てて割って入る。
柊夜:「日芽香ちゃん、夜分に失礼だよ。彼は疲れてるんだ。」
優:「そうだよ! 日芽香ちゃん、相変わらず派手だね〜!」
日芽香は二人を無視し、蓮の腕にべったりと抱きつく。
日芽香:「いいじゃない、家族みたいなもんでしょ?ね、蓮くん。明日、デートの続きしよ?」
蓮は冷めた目で日芽香を見つめ、美緒を指差す。
蓮:「悪いが明日は、この新入りの教育係で忙しいんだ。……帰れ。」
〇翌日・レッスン室
蓮と美緒、二人きり。 蓮は美緒を壁に追い詰め、逃げ場をなくす。
蓮:「昨日のはぐらかせると思ったか。……服を脱げ。」
美緒:「えっ!?……い、嫌です! 何するんですか!」
蓮:「男なら脱げるだろ。それとも……俺が脱がせて確認してやろうか?」
美緒の目に涙が溜まる。覚悟を決めた美緒は、震える手でシャツのボタンに手をかける。
その時、ドアが勢いよく開く。
日芽香:「蓮くーん!差し入れ……って、何してるの?」
日芽香は、蓮が美緒を押し倒しているように見える状況を目撃する。
日芽香:「(一瞬驚くが、すぐに妖しく微笑む)……あは。そういうこと? 蓮くん、あんなに女嫌いだったのに……まさか『男』が趣味になったの?」
蓮:「……チッ。日芽香、これは……」
日芽香:「いいわよ、面白そうじゃない。でも、私の『表向きの彼氏』でいてもらわないと困るの。……このことがバレたくなかったら、明日からのスキャンダル、協力してね?」
日芽香は、怯える美緒の耳元でささやく。
日芽香:「あんた、いい餌(エサ)を見つけたわね。……壊しがいがありそう。」
美緒は、この「嘘」の連鎖から逃げられないことを悟る――。
【次回予告:第3話】
日芽香の「偽装デート」に同行させられる美緒!
見せつけられるキス(!?)に、なぜか胸がズキズキ痛んで……
「私……どうしてこんなに苦しいの?」
第3話:隠しきれない、胸の高鳴り。
〇都内・高級セレクトショップ
日芽香の「偽装デート」のスキャンダル写真を撮らせるため、荷物持ちとして無理やり同行させられた美緒。 蓮と日芽香が腕を組んで歩く後ろを、大量の紙袋を持って歩く。
日芽香:「ねえ蓮くん、あっちの指輪も見ていい?……ほら、美波くん! ぼーっとしない。さっさと歩きなさいよ」
美緒:「(重い荷物にふらつきながら)……すみません、今行きます!」
蓮は日芽香と話しつつも、チラチラと後ろの美緒を気にしている。
美緒が階段でつまずきそうになった瞬間、蓮が日芽香の手を振りほどいて美緒の腕を掴む。
蓮:「おい、ドジ。……半分貸せ。男のくせに細すぎんだよ」
美緒:「えっ、でも……」
蓮:「いいから。……日芽香、買い物はもう終わりだ。帰るぞ」
不機嫌になる日芽香を無視して、蓮は美緒の荷物を奪い取る。
その大きな手に触れた瞬間、美緒の心臓がドクンと跳ねる。
〇夕暮れの公園・車内
日芽香を送り届けた後、車内には蓮と美緒の二人きり。
蓮:「……お前、なんであいつに言われるがままなんだよ。言い返せばいいだろ」
美緒:「だって、私は偽物ですから。……お兄ちゃんのフリをして、Luminousに迷惑をかけてる。日芽香さんに正体がバレたら、全部終わっちゃうから……」
美緒の瞳に涙が浮かぶ。蓮は舌打ちをして、乱暴に美緒の頭を撫でる。
蓮:「終わらせねえよ。俺が……バレないようにしてやるって言ってるだろ。お前は、ただ俺のそばにいろ」
その言葉と、髪に触れる蓮の熱い手のひら。
美緒は自分の胸の鼓動が、恐怖ではなく「恋」によるものだと気づき、顔が真っ赤になる。
〇夜・Luminousマンションの廊下
部屋に戻ろうとする美緒を、柊夜が呼び止める。
柊夜:「美……、あ、いや、美波くん。今日、大丈夫だった?……日芽香ちゃん、結構きつかったでしょ」
柊夜は優しく美緒の頬に手を添える。
その目つきは、明らかに「男友達」に向けるものではない。
柊夜:「無理して笑わなくていいんだよ。僕は、君が泣きそうな顔してるの、気づいてるから」
その様子を、物陰から見ていた蓮。 蓮は無意識に拳を強く握りしめる。
〇ラスト:蓮の自室
一人になった蓮が、ピアノに向かっている。
しかし、メロディが浮かばない。浮かんでくるのは、美緒の泣き出しそうな顔と、柊夜と見つめ合う姿ばかり。
蓮:「……クソ。なんでアイツばっかり……」
蓮がピアノを叩きつけるように鳴らす。
その頃、美緒は自分のベッドで胸を押さえていた。
美緒:「(心の声)だめだよ。私は男の子としてここにいるのに……こんなの、好きになっちゃダメなのに……っ」
【次回予告:第4話】
日芽香の怒りが爆発!
「私をコケにするなら、あの新入りの秘密、バラしてあげる」
日芽香が仕掛けた「偽装恋人」の公開キスイベント!?
追い詰められた蓮が、カメラの前で取った行動とは――!
第4話:偽装恋人の甘い罠
〇大型ショッピングモール・特設ステージ
Luminousと姫山日芽香の合同新曲発表イベント。
数千人のファンが詰めかけ、熱気に包まれている。
舞台袖で、日芽香が蓮に不敵な笑みを浮かべる。
日芽香:「ねえ蓮くん。今日のエンディング、ファンの前で私にキスして。そうすれば『男の子が好き』なんて噂、一瞬で消えるわよ?」
蓮:「……ふざけるな。そんな台本、聞いてない。」
日芽香:「あら、拒否するの? じゃあ、そこの『美波くん』に今すぐここで服を脱いでもらおうかしら。マスコミもたくさん来てることだし……」
横で震える美緒。蓮は日芽香を睨みつけるが、彼女の目は本気だ。
〇ステージ上・本番
ライブは大盛況。
しかし、美緒は日芽香の言葉が頭から離れず、ダンスのステップを間違えてしまう。
転びそうになった美緒を、すかさず柊夜が抱きとめる。
柊夜:「(耳元で)集中して。君は僕が守るから。」
客席からは悲鳴のような歓声が上がる。それを見た蓮の心に、激しい焦りと嫉妬が走る。
〇エンディング・MC
ついに運命の瞬間。日芽香がマイクを通し、ファンに向かって宣言する。
日芽香:「皆さん、今日は大事な報告があります。私、高木蓮くんと――」
日芽香が蓮の首に手を回し、顔を近づける。シャッター音が鳴り響く。
美緒は耐えられず、思わず目を逸らした。 その時――
蓮:「……悪いが、それはできない。」
蓮が日芽香の手を振り払い、隣にいた美緒の腕を掴んで自分の方へ引き寄せた。
会場が静まり返る。
蓮:「俺が本当に大切にしたいのは――こいつ(美波)だ。」
蓮は美緒を強く抱き寄せ、あえてマスコミのカメラに向かって「宣戦布告」する。
それは、美緒の正体を隠すための嘘か、それとも本心か。
〇楽屋裏
イベント終了後、荒れ狂う日芽香。
日芽香:「蓮! あんた正気!? あんなこと言ったら、あんたたち終わりよ!」
蓮:「……終わらせるかどうかは、俺が決める。」
蓮は美緒を連れて、足早に車へ向かう。
車内で震えが止まらない美緒を、蓮は静かに見つめる。
美緒:「蓮さん……どうしてあんなこと……これじゃ、本当に変な噂が……」
蓮:「(美緒を真っ直ぐ見て)……変な噂じゃない。俺が今、一番守りたいのはお前だ。」
美緒の頬を、蓮の指がそっとなぞる。 その様子を車の外から、複雑な表情で見つめる柊夜。
【次回予告:第5話】
世間は「蓮と美波の禁断の仲」で大騒ぎ!
そんな中、柊夜がついに美緒に自分の想いを告げる。
「蓮じゃなくて、僕を選んで。……美緒。」
雨の中で、ついに柊夜が美緒を抱きしめる――!
第5話:騎士の告白、雨の向こう側
〇Luminousマンション・リビング
前日の「衝撃の宣言」により、ネットニュースはLuminousの話題で持ちきり。
優:「ちょっと待ってよ蓮くん! 美波が一番大切って……それ、どういう意味!? 俺も美波のこと大好きだけどさ!」
蓮:「そのままの意味だ。……お前は黙ってろ」
蓮は不機嫌そうにコーヒーを飲み干し、部屋へ戻ってしまう。
一人残された美緒に、柊夜が静かに近づく。
柊夜:「美波くん……。少し、外の空気吸いに行かないか?」
〇夜の公園・ベンチ
小雨が降り始める中、二人は屋根のあるベンチに座る。
柊夜:「蓮のやり方は強引すぎる。……君を正体バレの危険にさらして、自分の独占欲を満たしてるだけだ」
美緒:「そんなこと……!蓮さんは、私を守ろうとしてくれたんです」
柊夜:「(美緒を真っ直ぐ見つめて)本当にそうかな。……僕は、君が女の子だって気づいた時から、ずっと君が傷つかない方法を考えてきた」
美緒が目を見開く。
美緒「えっ……気づいて……?」
柊夜:「……気づいてるよ、美緒。初めて会った時から、ずっと。」
柊夜は美緒の肩を引き寄せ、優しく抱きしめる。
柊夜:「もう嘘をつかなくていい。……蓮のそばにいたら、君はいつか壊れる。僕のところに来て。僕なら、君を『女の子』として幸せにできる」
〇雨の中の対峙
二人の姿を、傘も差さずに立っていた蓮が見ていた。
蓮:「……離せよ。柊夜」
激しい雨の中、蓮がゆっくりと近づいてくる。
柊夜:「蓮。君に彼女を幸せにする資格はない。日芽香ちゃんとの嘘も、この男装の嘘も、全部君が背負わせてるんだ」
蓮:「黙れ。こいつをどうするかは、俺が決める。……おい、美緒。来い」
蓮が手を差し出す。しかし、柊夜は美緒を離さない。 美緒は二人の間で激しく揺れ動く。 美緒:「(心の声)蓮さんのそばにいたい。でも、私は『美波』としてここにいなきゃいけないのに……柊夜さんの優しさが、痛いよ……」
〇翌朝・テレビ局の廊下
そんな中、日芽香が美緒を待ち伏せしていた。
日芽香:「(冷たい笑み)へぇ。二人の男に守られて、いい身分ね。でも、そろそろ終わらせてあげる。……あんたの兄さん、美波の『本当の居場所』、見つけちゃったから」
日芽香がスマホの画面を美緒に見せる。
そこには、海外の病院で眠る本物の美波の写真が……。
【次回予告:第6話】
日芽香の次なる一手は、本物の「美波」を公の場に引きずり出すこと!?
「あんたの代わりなんて、いくらでもいるのよ」
ついに美緒の正体が、最悪の形で晒される瞬間が近づく――!
第6話:崩れゆくステージ
〇大型歌番組・バックステージ
今日はLuminousが新曲を披露する生放送当日。
美緒は、日芽香に見せられた「兄・美波」の写真が頭から離れず、手が震えている。
安藤マネージャー:「美波、顔色が悪いぞ。しっかりしろ、今日は生放送だ!」
美緒:「……はい。大丈夫です……」
そこへ、ドレスアップした日芽香が通りかかる。
日芽香:「(耳元で)せいぜい頑張りなさい。今日のステージが、あなたの『お葬式』になるんだから」
〇本番直前・衣装部屋
美緒が衣装に着替えようと、一人で個室に入った瞬間。
突然、スタッフのフリをした男たちが乱入し、美緒の個室のカーテンを無理やり引き開ける。 そこには、日芽香に雇われたカメラマンたちが待ち構えていた。
美緒:「えっ、何……やめて! 来ないで!」
美緒は必死に胸元を隠すが、男装用のさらしを巻いた姿を執拗にフラッシュが焚かれる。
〇ステージ上・生放送開始
異変を知らない蓮、柊夜、優の3人がステージに上がる。
しかし、美緒が現れない。イントロが流れ始める中、会場がざわつき出す。
優:「美波!? どこだよ!」
柊夜:「(不吉な予感に顔を歪める)……まさか」
その時、会場の巨大スクリーンに、先ほど楽屋で撮られた「泣き叫びながら正体を隠そうとする美緒」の映像と写真が映し出される。 観客席から悲鳴と怒号が上がる。
日芽香(モニター越しのナレーション):「皆さん、騙されないで。Luminousの新メンバーは、男のフリをした大嘘つきの『女』よ!」
〇楽屋廊下
パニックになり、裸足で逃げ出す美緒。
スタッフやマスコミに囲まれ、出口を塞がれる。
「君、女の子なの!?」「ファンを騙して楽しいか!?」
そこへ、ステージを飛び出してきた蓮が、マスコミをなぎ倒して割って入る。
蓮は自分のジャケットを脱ぎ、震える美緒を包み込むように強く抱きしめた。
蓮:「どけ……。こいつに触るな!」
マスコミ:「あなたたちは知っていたんですか!? 詐欺ですよ!」
蓮:「(カメラを睨みつけて)詐欺だろうがなんだろうが構わねえ。……俺が、この女をここにいさせたんだ。文句があるなら、俺に言え!」
優「美波は僕たちのためにたくさん努力してくれた!」
終夜「今までやってきたことには間違いはない!」
蓮は美緒を横抱き(お姫様抱っこ)にし、何百ものフラッシュの中を突き進んでいく。
その様子を、勝ち誇った顔で眺める日芽香。
〇車内
安藤マネージャーが運転する車に乗り込む二人。 美緒は声を殺して泣き続けている。
美緒:「ごめんなさい……私のせいで、Luminousも、蓮さんも、全部めちゃくちゃに……」
蓮:「……めちゃくちゃになんてなってねえよ。これでやっと、お前を『お前』として呼べる。」
蓮の言葉とは裏腹に、スマホには「Luminous解散の危機」という文字が躍り始める――。
【次回予告:第7話】
世間からの猛烈なバッシング。活動休止に追い込まれるLuminous。
「私さえいなければ……」 美緒は一人、姿を消す決意をする。
しかし、そんな彼女の前に、日芽香が最後の冷酷な条件を突きつける!
第7話:100万回だまされても、君がほしい。
〇活動休止中の隠れ家(郊外の別荘)
世間は大炎上。
「詐欺アイドル」というレッテルを貼られ、Luminousはすべての活動をストップしていた。 美緒は責任を感じ、一睡もできずに別荘の隅で膝を抱えている。
優:「……美波、いや、美緒ちゃん。ご飯、少しでも食べなよ」
いつも明るい優も、どこか元気がない。
柊夜:「今は何を言っても届かないかもしれないけど……君がいなくなることが、僕らにとって一番のダメージなんだよ」
〇別荘の庭・深夜
美緒は一人、荷物をまとめて別荘を抜け出そうとする。
美緒「これ以上、みんなの夢を壊したくない……」
しかし、門のところで待っていたのは蓮だった。
蓮:「どこへ行く。また逃げるのか?」
美緒:「蓮さん……。私、もうここにいちゃいけないんです。私がいるだけで、Luminousの名前が汚れていく……」
蓮:「汚れたら、また磨けばいいだろ。……俺は、お前が男だろうが女だろうが、どうでもよかったんだ。ただ、お前の歌が好きで、お前が隣にいないと曲が書けない……それだけだ」
蓮は美緒の手を強く握る。
蓮:「100万回だまされたって、俺はお前を選ぶ。……だから、勝手にいなくなるな」
〇日芽香の事務所
翌日、美緒は一人で日芽香のもとを訪ねる。
日芽香:「あら、まだ日本にいたの? 早く消えてくれないと、Luminousの違約金、もっと増えるわよ」
美緒:「……どうすれば、Luminousを助けてくれますか? 何でもします」
日芽香は冷酷に笑い、一枚の契約書を差し出す。
日芽香:「じゃあ、引退会見を開きなさい。そこで『蓮を誘惑して、無理やりメンバーに入り込んだ』って嘘をつくの。彼らを被害者にして、あんた一人で泥を被りなさい。……そうすれば、Luminousは救ってあげる。全部自分で責任を償うのよ‼」
〇別荘・蓮の部屋
戻ってきた美緒は、蓮に嘘をつく。
美緒:「……蓮さん。私、やっぱりアイドルに向いてませんでした。全部、お金のためだったんです。……さようなら」
冷たく言い放ち、部屋を出る美緒。 しかし、蓮はその目を見ていた。
蓮:「……下手くそな嘘つくなよ。……お前、日芽香に何を言われた?」
美緒を追いかけようとする蓮。
しかしその時、玄関に現れたのは……。髪を少し伸ばし、病色ながらも美緒と瓜二つの顔をした青年 本物の、桜井美波だった。
美波:「……僕のせいで、妹を泣かせたのはどこのどいつだ?」
【次回予告:第8話】
ついに本物の「美波」が帰還!
「僕の代わりは、誰にもさせない。……妹(美緒)を返してもらうよ」
Luminousに最大の激震が走る!
蓮と美波、美緒を巡る真剣勝負!?
第8話:本物の「美波」が帰ってくる日
〇別荘・エントランス
静まり返る一同。そこに立っていたのは、美緒と全く同じ顔、しかしどこか鋭く危ういオーラを放つ青年・本物の桜井美波だった。
美緒:「お兄ちゃん……! 起きたの……?」
美波:「(美緒を抱き寄せ、蓮を睨みつける)……ああ。妹が酷い目に遭ってるって聞いて、寝てられなくてね。おい、あんたがリーダーの高木蓮か。うちの妹を『身代わり』にして、挙句の果てに晒し者にしたのは……あんただろ?」
蓮は一歩も引かず、美波を見返す。
蓮:「……身代わりを頼んだのはマネージャーだ。だが、こいつを守れなかったのは……俺の責任だ。それは認める」
〇リビング・話し合い
美波はソファーに深く腰掛け、足を組む。
美波:「僕が戻った以上、美緒がここにいる必要はない。今日、美緒を連れて帰る。Luminousの穴は僕が埋める。それで文句ないだろ?」
優:「えっ、でも……美波くん、体は大丈夫なの?」
美波:「死ぬ気でリハビリしたよ。……それに、これ以上あのお姫様(日芽香)に妹をいじめさせるわけにはいかないからね」
柊夜が冷静に問いかける。
柊夜:「美波くん。君が戻ればグループは救われるかもしれない。でも……美緒の気持ちはどうなるんだ?」
美波は隣で俯く美緒を見る。美緒は蓮の顔を見ることができない。
〇夜・別荘のバルコニー
美緒が一人で風に当たっていると、蓮がやってくる。
蓮:「……本当に行くのか。あいつと一緒に」
美緒:「お兄ちゃんがいれば、私はもう必要ありません。……それが一番、みんなにとっていいはずなんです」
蓮:「勝手に決めるな! ……俺は、美波(兄)の歌を待ってたはずだった。でも、今は違う。……俺が歌いたいのは、お前(美緒)がいるLuminousだ」
蓮は美緒の手を掴み、自分の心臓の上に当てる。
蓮:「ここが、お前を離すなって言ってるんだよ……!」
〇テレビ局・ロビー
翌日。美波が復帰の挨拶のために日芽香の前に現れる。
日芽香:「あら、本物のお出まし? でも、もう遅いわよ。美緒の引退会見、もうセッティングしちゃったもの。彼女が泥を被らなきゃ、Luminousは解雇よ」
美波:「(日芽香の耳元で冷たく笑う)……日芽香ちゃん、君の弱み、僕が握ってるの忘れた? 君が昔、海外で何してたか……世間にバレたら、『国民の妖精』は即終了だよね」
日芽香の顔が真っ青に引きつる。美波の「毒」が、初めて日芽香を圧倒する。
〇ラスト:美緒の部屋
荷物をまとめ終えた美緒。そこへ蓮が入ってくる。
蓮:「……最後だ。お前に一つだけ、嘘じゃない『願い』を教える。」
蓮は美緒を引き寄せ、耳元でささやく。
蓮:「……俺のところへ、戻ってこい。必ずだ。」
美緒は涙を流しながら、兄・美波と共に車に乗り込む――。
【次回予告:第9話】
美波の復帰ライブが決定!
しかし、それは美緒との「本当の別れ」を意味していた。
「最後に一度だけ、私のワガママ、聞いていいですか?」
星降る夜、美緒が蓮に捧げる、最後の「嘘」と「キス」。
第9話:星に願いを、嘘にキスを。
〇ライブ前夜:Luminousマンション・屋上
明日は本物の美波としての復帰ステージであり、美緒が表舞台から永遠に姿を消す日。
美緒は一人、夜空を見上げている。そこに、リハーサルを終えた蓮が現れる。
蓮:「……明日が終われば、お前は本当に『ただの女の子』に戻るんだな」
美緒:「(寂しげに笑って)はい。お兄ちゃんが完璧に歌ってくれました。私の居場所は、もうあそこにはありません」
蓮:「居場所ならここにある。……俺の横だ」
蓮はポケットから、星の形をした小さなピンキーリングを取り出し、美緒の指にはめる。
蓮:「これは俺からの『嘘』だ。お前はただのファンだ。俺とは何の関係もない。……そう自分に言い聞かせて、これを着けてろ。そうすれば、いつか俺が迎えに行っても、誰にも怪しまれないだろ?」
美緒は溢れる涙を止められない。
〇ライブ当日:会場・バックステージ
本番5分前。美波が衣装に身を包み、ステージ袖に立つ。
美緒はスタッフのフリをして、影から兄を見守っている。
そこへ、追い詰められた日芽香がやってくる。
美波に弱みを握られた彼女は、もう以前のような余裕はない。
日芽香:「……蓮くんを、あの子に取られるくらいなら、全部壊してやるわ」
日芽香はステージの照明機材に細工をしようとするが、それに気づいた美緒が止めに入る。
美緒:「日芽香さん、もうやめてください! 嘘で塗り固めても、誰も幸せになれない!」
日芽香:「うるさい! あんたさえいなければ……!」
揉み合う二人。その時、不安定だった照明機材が、美緒の方へ倒れかかってくる。
〇ステージ袖・決死の救出
蓮:「美緒――!!」
間一髪、蓮が美緒を突き飛ばし、自らが下敷きになる。
騒然となる現場。美波、柊夜、優が駆け寄る。
蓮:「(苦しそうに微笑みながら)……っ。おい、美緒……泣くな。俺の……ピアノを弾く手は、無事だ……」
美緒:「蓮さん! どうして……私のために……!」
〇救急車の中
意識が遠のきかける蓮を、美緒が必死に励ます。
美緒:「蓮さん、起きてください! 私、まだちゃんと言ってないんです……大好きだって、100万回だまされても、あなたを好きになるって……!」
蓮は力なく美緒の首を引き寄せ、最後の力を振り絞って唇を重ねる。
それは、誰にも見られない車内での、最初で最後の「嘘」のないキスだった。
蓮:「……願いは……叶ったな。」
そのまま、蓮はゆっくりと目を閉じる。
【次回予告:最終話(第10話)】
「俺たちのセンターは、今日から二人だ。」
蓮の怪我、日芽香の失脚、そしてLuminousが選ぶ「最大の嘘」。
世界中をだまし抜いた先にある、美緒と蓮の結末とは――。
最終話:世界中をだまして、君と恋をする。
〇病院・一ヶ月後
蓮の怪我は幸い命に別状はなく、懸命なリハビリによりピアノが弾けるまで回復していた。 その傍らには、男装を解き、本来の姿に戻った美緒がいる。
蓮:「……おい、その格好でウロウロするな。誰かに見られたらどうする」
美緒:「もう大丈夫ですよ。今日は、みんなに『大事なお話』があるって集まってもらったんですから」
部屋には、美波、柊夜、優、そして謹慎処分を受けた日芽香もいた。
〇Luminous 復活ライブ・特設会見場
Luminousの活動再開ライブの直前、メンバーがカメラの前に立つ。
世界中の注目が集まる中、リーダーの蓮がマイクを握る。
蓮:「皆さんに、最後にして最大の嘘をつきます。……先日までここにいた『桜井美波』は双子の妹の『美緒』でした。彼女は兄を想い、俺たちを救うために自分を殺して歌っていた。……そして俺は、そんな彼女を、僕は心から愛しています」
会場にどよめきが走る。しかし、蓮は続ける。
蓮:「今日からLuminousは、本物の美波を加えた『最強の4人』で再始動する。……そして、桜井美緒は、俺の専属の作曲アシスタントとして、一生俺の隣にいてもらう。……文句がある奴は、俺たちの音楽を聴いてから言え!」
〇ステージ上・ラストライブ
本物の美波の歌声、柊夜の優しいギター、優の力強いドラム、そして蓮の奏でるピアノ。
4人のLuminousが、かつてない輝きを放つ。
ステージ袖で見守る美緒に、蓮が演奏しながら一瞬だけ視線を送る。
その指には、あの夜に交わした「星のリング」が光っていた。
〇数年後:星空の見える教会
日芽香は過去の過ちを認め、実力派歌手として再起していた。
彼女から届いた祝電を手に、美緒は白いドレスに身を包んでいる。
柊夜:「……本当は、僕がその隣にいたかったけどね。幸せになりなよ、美緒」
優:「美緒ちゃん、世界一綺麗だよ!」
美波:「……おい高木。妹を泣かせたら、今度こそ僕がLuminousを乗っ取るからな」
タキシード姿の蓮が「幸せにするに決まってる」という顔で頷いている。
蓮は美緒の手を取り、優しく微笑む。
蓮:「準備はいいか。……これから、一生続く『幸せな嘘』を始めよう」
美緒:「はい! 100万回だまされても、私はずっと、蓮さんのことを好きでいます!」
蓮「……⁉ あのな、お前、そんなことを簡単に言うんじゃない‼」
美緒「か、簡単じゃないです‼ 勇気を振り絞っ……⁉」
その瞬間、蓮が美緒の唇に自分の唇を重ねる。二人は満天の星空の下誓いのキスを交わした。
蓮「今までは言えなかったが、これからは何度だっていう。美緒を愛してる!」
美緒「私も! 蓮を愛してる!」
美緒が蓮のほほにキスをする。蓮は、初めての呼び捨てとキスに戸惑い、照れる。
美緒「蓮さん、照れてます?」
蓮「照れてない! あ、なんだ! 呼び捨ては1回だけか?」
美緒「たま~~~~~~~~~~に呼んであげますよ!」
蓮「そうか。その日を心の底から待ってるからな!」
美緒「ええ、待っててくださいね!」
ふたりは楽しそうに笑顔で永遠に会話をしている。
BGMが流れ、星空が映し出される。タイトルロゴが重なり、物語は幕を閉じる。
『100万回だまされても、君を好きになる。〜星に願いを、嘘にキスを〜』――完


