鯨のうた

お昼休憩も終わり、優作さんと別れ、午後の業務に戻る為に営業部のオフィスに戻る。

すると、オフィス内が何だかざわついていた。

「ねぇ、さっきの見た?」
「見た見た!あれ、中原専務の娘だよね?!」

営業事務の女性社員たちの会話にわたしは反応してしまう。

(中原専務の娘さん?)

わたしは話を聞いていないふりをして、自分のデスクに戻る。
しかし、自然とわたしは女性社員たちの会話に耳を傾けていた。

「何か、雨龍課長に会いに来たらしいよ」
「え、お見合い話って、雨龍課長断ってなかったっけ?」
「そうだと思ってたけど、違うのかなぁ?」
「雨龍課長とお見合いかぁ〜。いいなぁ」
「専務の娘だからって、ズルいよねぇ」

女性社員たちの会話を聞き、わたしはフリーズしてしまう。

(え···中原専務の娘さんと、優作さんが···お見合い?どういうこと?)

わたしの頭の中は一瞬にしてパニックに陥った。

先程までの安心がまるで嘘のように不安になっていく。

(どうして···?お見合い?断ったはずじゃ···)

お見合いを断っていたところは、わたしがこの目で確かに見た。
優作さんがお見合いを受け入れるとは思えない。

それに、優作さんがわたしを裏切るような事をするはずがない···と思いたい―――

すると、わたしのバッグの中でブブッとスマートフォンが振動する音が聞こえた。

わたしはバッグに手を入れ、スマートフォンを取り出す。
スマートフォンの画面には『新着メッセージ1件 雨龍課長』と書かれていた。
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