鯨のうた
「···千衣、ありがとう」
優作さんはそう言うと、そっとわたしを抱き締めた。
その瞬間、わたしの心から涙が溢れ出すのを感じた。
心が泣いている。
しかし、これは悲しい涙ではない。嬉し涙だ。
わたしはこのぬくもりを欲していた。
優作さんの全身から伝わってくる愛情―――
わたしからの愛情も優作さんに伝わっていればいいなぁ。
「千衣···、俺と結婚してください」
耳元に響く優しい優作さんの言葉。
優作さんは一度わたしから身体を離すと、わたしを真っ直ぐに見つめ、再びこう言った。
「ずっと···この生涯を終えるその日まで、隣にいてほしい。千衣の隣にいさせてほしい」
優作さんの瞳は潤んでいた。
そして、わたしの瞳も潤んでは優作さんの顔をぼやかして、瞬きをすれば涙がポロッと零れ落ちた。
「はい。わたしもずっと優作さんに隣にいてほしいです。隣にいさせてほしいです」
わたしたちは泣きながら微笑み合い、額を寄せて、お互いを愛おしく感じ、そして再び抱き締め合った。
お昼休憩なのに、ご飯を食べる事も忘れ、わたしたちは時間が許すまでただひたすらに抱き締め合い、それから愛の言葉を伝えあった。
「千衣、愛してるよ」