鯨のうた
それからわたしは、雨龍課長と他愛もない話で笑い合った。
今度、雨龍課長がお気に入りの休憩場所である屋上にも連れて行ってくれる約束もした。
今日もわたしの心は満たされていた。
最初は感じていた物足りなさも、雨龍課長が加わった事ですっかり解消されていた。
男はこりごりだと、つい先日思ったばかりのはずなのに―――
所詮、人間は単純な生き物なのだと、思い知らされた。
でも、欲を出してはいけない事は分かっている。
たまにでいい。
たまにこうして、雨龍課長とご飯を食べられるだけで充分だ。
そう思っていた。
しかし、この時のわたしはまだ気付いていなかった。
雨龍課長とわたしが二人で過ごしているこの瞬間を、誰かに見られていた事を―――