鯨のうた
Story.4
あの騒動の次の日、わたしは雨龍課長と屋上でお昼休憩を取った。
少し冷たくなってきた秋風に、秋色に染まり始めた景色。
雨龍課長とわたしは屋上のベンチに座り、雨龍課長が近所のパン屋さんで購入してきてくれていたサンドイッチを頬張っていた。
「もうすっかり秋ですね」
「そうだね」
「そういえば、冬はどうしてるんですか?まさか冬まで屋上で休憩取ってないですよね?」
わたしがそう訊くと、雨龍課長は「ははっ」と短く笑った後で「さすがに冬は寒すぎるからね」と言った。
「冬は冬で、別の場所があるんだよ」
「そうなんですか?どこですか?」
「んー···、それは、その時になったら話すよ。また露草さんを案内するから」
雨龍課長の言葉にわたしは自然と笑みが溢れる。
(これからもわたしと仲良くしてくれるんだ)
わたしは「はい、わかりました。楽しみにしてます」と言うと、サンドイッチを噛じり、空を見上げた。
真っ青ではない、淡い水色の空。
今ここで、こうして雨龍課長と一緒に過ごしている自分が何だか信じられない。
いつも一人だったお昼休憩。
でも、雨龍課長となら楽しかった。居心地が良かった。
このままずっと、こうしていたい―――
そう思うわたしは、欲張りだ。