鯨のうた
「資料庫?!」
わたしが驚き、雨龍課長を見上げると、雨龍課長は「ここは、最近のものじゃなくて、何年も前の資料を保管してる場所だから、誰かが来ることはほとんど無いんだ」と言った。
それから雨龍課長に促され、第3資料庫に入る。
わたしは5年勤めて、初めて入る場所だ。
「わぁ〜···初めて入りました」
「相当な理由がない限り入る事はないからね」
そこには、背の高い鉄の棚にぎっしり資料が詰め込まれたファイルが納められていた。
その棚の間を通り、雨龍課長は奥へと進んで行く。
すると、奥にはカーテンが見え、雨龍課長はそのカーテンをめくった。
「どうぞっ」
「お、邪魔、します」
そう言い、中へ入って見ると、そこにはまるで休憩室のようなテーブルとソファーが置かれていた。
「まるで休憩室ですね」
「数年前まで応接室で使ってたソファーとテーブルだよ。新しく買い替えて用済みになったから、ここに置かれてるんだ」
そう言って、雨龍課長は温かみのある電光色の明かりを灯した。
「どうぞ、座って?って、別に俺の家でもないんだけどさ」
「じゃあ、失礼します」
そうしてソファーに座らせてもらうと、わたしの隣に雨龍課長が腰を下ろした。
4畳あるかないか程の狭い空間。
屋上とは違う雰囲気に、何だか少し緊張してしまう自分がいた。