鯨のうた

涙は出なかった。

もちろん、裏切られた事は悲しかったが、それよりも同じ事ばかりを繰り返す自分に呆れてしまったのだ。
これまでのわたしの恋愛は、そんなのばかりだった。

二股を掛けられていて、最終的には自分は選ばれずフラれたり、浮気を繰り返されて、わたしが怒ると暴力をふるわれ逃げるように別れたり、独身だと思って付き合ってみたら実は既婚者で別れたり···―――

そして今回は、これだ。

わたしはなぜこんな恋愛ばかりなんだろう。
なぜ学ばない?

わたしはただ、自分の味方が欲しかった。
いつでも安心して帰って来られる居場所が欲しかった。

でも、なかなかうまくいかない。
見つからない···―――

わたしは空を見せてくれない分厚い雲を見上げながら、家路についた。

(いっその事、雨が降ってくれた方が良かったのに。そしたら、自分の気持ちをリセット出来る気がしたのに)

しかし、その日はどんよりとした曇り空のままで浄化の雨は降ってくれなかった。

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