鯨のうた
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あれから年末に向けての仕事が多忙になり、あっという間に11月は過ぎて12月に入った。
気付けば営業部の忘年会が開催される金曜日。
まだ雪は降っていないものの、すっかり風の冷たさは秋から冬への移り変わりを感じさせていた。
「みんなお疲れー!乾杯!」
「かんぱーい!」
19時集合だったが、予定よりも早く全員が揃った為、フライングで始まった忘年会。
会社の最寄り駅の近くにある居酒屋"はなび"が営業部の忘年会会場だ。
わたしは端の小上がり席に座り、お馴染みのレモンサワーを喉に流し込む。
同じテーブルには、わたしが担当している国枝さんと、今年営業事務として入社したばかりの佐々木(ささき)さん、そしてわたしの隣には、当たり前のように航が座っていた。
「いやぁ、今年も後少しだねぇ!佐々木ちゃん、仕事の方はどう?慣れた?」
生ビールのジョッキを片手に国枝さんが言う。
佐々木さんは小柄でボブヘアの可愛らしい女の子だ。
「仕事はまだまだですけど、皆さん優しいので何とかやれてます」
「分からない事があったら、気を遣わないで聞いた方がいいよ!ほら、ここにベテランの千衣ちゃんがいるし!」
そう言って、調子良く国枝さんはわたしを指した。
「いやいや、わたしなんて全然ベテランでもないですよ」
「そんな事ないよ!営業部で一番仕事が早くて正確で、貫禄もあるしね!」
「貫禄って、それ褒めてます?」
わたしがそう言うと、国枝さんは大きな口を開けてゲラゲラと笑った。
その隣で佐々木さんは控えめに笑い、「でも本当に露草先輩は凄いですよね。二人の営業さんの担当している上に周りのフォローまでしていて、尊敬しちゃいます」と言って、わたしに向けて微笑み掛けてくれた。