鯨のうた
まだカーテンを開けていない薄暗い寝室には、カーテンの隙間から昼間の光が差し込んでいる。
優作さんは布団をめくると、わたしに羽毛布団を掛け、自分も布団の中に潜り込んだ。
「暖房は入れてるけど、お風呂上がりだし、風邪引くといけないからね」
優作さんはそう言って、わたしの頬に触れた。
「こんな時間から布団に入れるなんて、幸せですね」
「たまにはダラダラするのも必要だよ」
そうは言ったが、優作さんはわたしに覆い被さり、両腕で包み込むと優しく口付けた。
「なーんて言ったけど、ダラダラするのは無理だ」
「撤回早すぎですよ」
わたしがそう言ってクスッと笑うと、優作さんは首を傾け「ダメ?」と甘い声で訊く。
そんな声でズルい―――
「ダメ···じゃないです」
わたしのその言葉をきっかけに優作さんはわたしの唇を塞いだ。
さっきのお風呂の時よりも深く深く長いキスに、そのまま首筋に流れる優作さんの唇。
優作さんの一つ一つの動作には、愛情を感じた。
甘い吐息に激しくも優しい指先。
それから―――
「えっ···」
「ん?どうしたの?」
「は、入るかな···」
経験人数が多いわけではないが、さすがに驚いてしまった···
「大丈夫だよ。心配しないで」
優作さんはそう言ってわたしに短いキスをした。
「痛かったら言ってね」
何故か一瞬、初体験の時の記憶が蘇った。
しかし、身構えていたにも関わらず、優作さんがわたしの中に入ってきたのを感じた瞬間、不安はすぐに快楽へと入れ替わった。
今までに感じた事のない感覚に腰が浮いてしまう。
我慢出来ずに溢れてしまう声。
この行為を"気持ち良い"と感じたのは、初めてだった。
「千衣、好きだよ―――」
耳に響く優作さんの甘く優しい低い声。
わたしは、優作さんの愛に溺れながら、初めて果てる感覚を知った。