この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 やはり彼、宏臣だった。

 「乗って」

 後続車がいるため、ぐずぐずしていられない。「はい」と返して助手席に乗り込んだ。
 シートの柔らかさも車内の静けさも、すべてが普段と違いすぎて落ち着かない。

 「先日はありがとうございました。無事、タカラ製菓さんからオッケーをもらえました」

 まずはお礼から。宏臣のアドバイスがなかったら、時間切れで契約を打ち切られていたかもしれない。

 「ちょっと助言しただけ。あとはキミの実力だろう」
 「いえ、本当に助かりました」
 「それならよかった。シートベルト着けて」
 「あ、はい」

 慌てて手を伸ばしたが、すっと彼の手が伸びてくる。

 (ち、近い……)

 顔の近さにドキドキしているうちに、バックルがカチッとはまる音がした。

 「そんなに緊張するな」
 「してません」

 クスッと笑われて恥ずかしい。
 宏臣が、ちらりとこちらに視線を寄越す。

 「水玉模様が似合うのは、てんとう虫かキミくらいだな」
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