この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 「とにかく、僕は帆奈美さんとの結婚を諦めるつもりはありません」

 凪子の言葉を受けても、宏臣の表情は崩れなかった。ただ、その目の奥に静かな決意だけが宿る。

 (ならば、結果で示すまでだ)

 東城コンツェルンが現在進めている、大型案件がある。
 海外の老舗エネルギー企業の買収案件。長年にわたり交渉が難航し、幾度も白紙に戻りかけたプロジェクトだ。
 相手はひと筋縄ではいかない経営陣。加えて、現地政府の規制や利権も絡み、社内でも『成立は困難』と見られていた。

 その最前線に立っているのが宏臣である。
 条件の再構築、利害関係者の調整、そして水面下での交渉。すべてを自ら主導し、わずか数週間で停滞していた流れを動かしている。

 この案件をまとめ上げれば、東城コンツェルンにとって過去最大規模の海外進出となる。同時に、宏臣の評価は揺るぎないものになるだろう。
 そうなれば、たとえ凪子であっても無視はできない。結果を出した者の選択を、頭ごなしに否定することはできないのだから。

 すべては、自分の手で掴み取る。
 宏臣は静かに息を吐いた。
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