この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 その言葉に息を呑む。

 「友人と会うと聞いた時点で、察しはついていた。まさか、お前だったとはな」

 視線が日高へと向けられる。静かな声音だが、その奥にあるものは明らかだった。

 「……副社長」
 「あのっ、これは宏臣さんのお母様に許してもらおうと――」
 「日高に仲介を頼んだ覚えはない」

 言葉を遮るように言われ、帆奈美は息を呑んだ。

 「俺はそんなやり方で認められたいと思ったことは一度もない」

 視線は帆奈美に向けられているのに、言葉は明らかに日高に向けられていた。

 「勝手に動いて、勝手に話を進めて」

 宏臣がそのまま、ゆっくりと日高へと視線を移す。

 「挙げ句の果てに、乗り換えの提案か。随分と都合がいいな、日高。そもそも、そんなつもりはないだろう? すべては母の命令通り。帆奈美の気持ちを俺から逸らせとでも命じられたんだろう。違うか?」

 わずかに口元が歪む。

 「……さすが副社長ですね」 

 日高はわずかに目を伏せ、すぐにいつもの穏やかな表情に戻った。
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