この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 「否定はしないのか」

 宏臣の声は抑えられている分だけ鋭さを帯びている。

 「する意味がありませんので」

 淡々とした口調だった。逃げる気配はいっさいない。

 「最初から、そのつもりで帆奈美に近づいたと」
 「はい。奥様のご意向です」

 (えっ、それじゃ、宏臣さんとの結婚を応援してくれたんじゃなくて、まるっきり逆だったの……?)

 別れさせようとして帆奈美に近づいたというのか。それも宏臣の母親の命令で――。
 空気が張り詰める。
 帆奈美は言葉を失ったまま、ふたりを見比べることしかできない。

 「……ですが」

 日高がわずかに視線を上げる。

 「途中からは、私自身の判断も含まれています」
 「余計なことをしたな」
 「ええ。ですが、結果的に副社長の本気も確認できました。普段、私に対して紳士的な態度のあなたが、それを崩さずにはいられないほどなのですから」

 微笑すら浮かべる日高に、宏臣の目が鋭さを増す。

 「試したつもりか」
 「滅相もありません。ただ――」
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