この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 ほんの一瞬だけ、言葉を選ぶ間があった。

 「あなたが揺らぐ方であれば、その程度で終わっていたというだけです」

 宏臣は短く息を吐いた。

 「くだらない」

 そのひと言で切り捨てると、スマートフォンを取り出す。迷いなく画面を操作し、音量を抑えつつスピーカーにした。
 数コールも待たずに、相手が出る。

 《宏臣? どうしたの》
 「確認したいことがある」

 視線を日高に向けたまま続ける。

 「帆奈美に日高を近づけたのは、母さんの指示ですね。日高も認めました」

 一瞬の沈黙が舞い降りた。

 《……な、なんのことかしらね》
 「今さらとぼけても無駄です」

 宏臣に断言され、逃げられないと悟ったのだろう。

 《あの子ったら余計なことを……》

 それが答えだった。

 「なにをしようと僕の気持ちは変わりません。帆奈美さんと結婚します。それ以外は考えていません」
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