この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 背中に回された腕に力がこもり、さらに引き寄せられる。何度も角度を変えながら重ねられる口づけに、思考がじわじわと溶かされていく。

 「……帆奈美」

 名前を囁かれ、肩口に顔を埋められる そのまま指先が服の裾にかかり――

 「ま、待って……っ」

 かすれた声で制止する。
 宏臣の動きがぴたりと止まった。

 「どうした」
 「シャワー浴びたい、です」

 ふっと小さく息が漏れる。

 「そういうことか」

 どこか納得したように呟くと、今度は手を引かれる形で歩き出した向かった先は、寝室ではなくバスルームだ。

 「ひとりで、じゃないよな」

 振り返った宏臣が、わずかに口元を緩める。返事をする間もなく、そのまま扉が開けられた。
 白いタイルに反射する明かりの中へ足を踏み入れた瞬間、背後から腕を引かれる。

 「きゃっ……」

 そのまま強く抱き寄せられた。さっきよりも距離が近い。
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