この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
想定を逸脱しすぎる彼
週が明けた月曜日、帆奈美が働くマーケティング会社『ネクサスブランディング』のオフィスは、いつものように活気に満ちていた。
「立原さん、すみません! この資料のグラフ、数値が合わなくて……」
隣のデスクから泣きそうな声が飛んでくる。帆奈美は自分のパソコンから顔を上げた。
「どれどれ?」
キャスター付きの椅子を滑らせて画面を覗き込む。
「あ、ここだね。参照セルがずれてる」
数秒で原因を見つけ、さらっと修正する。
「ほら、これで合うはず」
「うわ、本当だ! ありがとうございます!」
ぱっと表情を明るくした後輩に、帆奈美は笑って手を振った。
「いいよいいよ。困ったときはお互いさま」
とは言ったものの。
(今日も朝からフル回転だなあ……)
三十代の若き社長が大学生のときに起業したマーケティング会社は実績や評判はもちろん、業界内でも知名度が高い。