この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 そう必死に訴えてから宏臣を見上げた。

 (どう? これでさすがに引くでしょ)

 そう思ったのに、宏臣の表情は少しも変わっていなかった。むしろ、どこか楽しそうですらある。くくっと笑って肩を揺らしていた。

 (……なんで?)

 帆奈美の混乱は、さらに深まるばかり。

 「お金も時間も好きなように使えばいい。グッズのための部屋はひと部屋ですか? 足りなければいくつでも用意しますよ」

 甘い誘いに心が揺れたが、ここで絆されるわけにはいかない。見下ろしてきた彼を強い気持ちで見上げる。

 「そ、そんなお金にものを言わせる人との結婚なんて考えられません! 絶対に無理です!」

 こんなに不釣り合いなカップルはほかにない。日本はもちろん世界にだって名を轟かせる東城コンツェルンのぼっちゃんと、庶民も庶民、平凡な会社員の自分。並べて考えるだけで胃が痛くなってくる。

 「私、普通の家で育ってきたんですよ。朝は自分で満員電車に乗って会社行って、帰りにスーパー寄って、安いお惣菜買って帰るような生活なんです」

 気づけば、必死にまくし立てていた。

 「お見合いだって本当は関係ない立場でしたし、そもそもあれは――」
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