この縁談、謹んでお断りいたします〜身代わりお見合いのはずが、冷徹御曹司の運命の花嫁になりました
 その様子だと、愛理はまだ父親に話を通していないようだ。

 「たぶん調べたんだと思う。東城グループだし、その気になればなんでもわかるでしょ」
 《ひぃぃ……》

 今度は小さく怯える声。

 《で、で、どうなったの? 怒られた?》
 「それが……」

 言いかけて、言葉に詰まる。あのときの宏臣の顔が、ふっと頭に浮かんだ。

 『この縁談、このまま進めようと思います』
 『立原帆奈美さんとして』

 (……いやほんと、なんでそうなるの)

 《ね、帆奈美ちゃん、どうだったの?》

 電話の向こうで愛理が繰り返す。

 「そのまま結婚したいって言われた」
 《は?》

 今度は愛理の思考が止まったらしい。
 しばらくの沈黙のあと、

 《……はぁ???》

 さっきよりも低く、理解を拒否する声が返ってきた。

 「私も同じ反応したからね」
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