婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】
心を落ち着かせるために、深呼吸をしてノックをする。
───コンコンッ
「はいれ」
「失礼します!お風呂とお着替え終わりましたっ」
部屋に入ると、すっかり綺麗な姿に戻ったギル様と楽しそうに話をしているアル様がいた。
「くすっ……ギルから聞いたよ、さっぱりしてきたかい?」
私を見た瞬間、いつも通りの優しい笑顔でくすくすと笑うアル様がいた。
すると、ギル様がソファからすっと立ち上がると、私の方へ歩み寄ってきた。
「さて……本当に綺麗になったか?」
「綺麗になりましたよっ!」
笑顔で答えるとギル様が私の目の前まで来て、じっと覗き込んでくる。
恋を自覚したばかりの私には、いつもよりギル様が輝いて見える。
青い瞳が綺麗で、整った顔が近くて……、いつもの非じゃないほど胸がドキドキとしてときめいた。
ち、近くない?!
い、いつもだけど……好きだと思うと、この近さ……む、むりなんですけどっ!!!!
こ、これが恋?!
目の前でふっと楽しげに笑うギル様は、私の耳元に顔をちかづける。
そして、突然すんすんと匂いを嗅いでくるギル様に肩がビクッとなる。
「……ひっ……」
「本当に綺麗になったようだな?いつも通り甘い匂いがする」
「なっ!!!!!」
近い!恥ずかしい!やばい!
てか意地悪に笑うギル様、かっこよすぎませんか?!
キラキラしすぎて耐えらんないよぉ!
「ち、近いですっ!離れてくださいっ!!」
完全に恋する乙女モードの私には、ギル様とのこの距離感に耐えられそうにない。