婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】
まさかのことにバランスを崩した私。
「はわっ!……きゃっ……っ!!!」
ギル様は、そんな私を上手に胸の中に引き寄せると、ふっと笑い、耳元で甘い声で囁く。
「リリィどこへ行くつもりだ?お前の居場所は、俺の隣だ。わかっているのか?」
「……!!に、逃げようなんて、そんな…き、気のせいじゃないですか?!?!」
気のせいよ気のせいっと視線を泳がす私に、綺麗な顔で笑うギル様は、さらに私に近寄ると
「へぇ……逃げようとしていたのか……
この俺を池に落とした度胸は、やはり流石だなぁ?」
「なっ…!!ま、また脅す気?!」
「くくっ…本当にお前は可愛いらしいな、嘘も上手につくことができないんだからな…くくっ」
慌てる私に喉を鳴らして笑うギル様の笑顔は、いつもと違い心から笑っているように見えた。
その姿は、まぁ……いつもよりはかっこいい……。
隣で楽しそうに笑うその笑顔に少しだけ私の胸がドキッと音を鳴らす。