婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~【完】
リリィside
むにゃむにゃ……、うるさいよぉ…。
「──様!リリィ様!到着しましたよ!」
誰かが私の肩を揺らし、夜会に向かう馬車の中でぼんやりと目をあけると、目の前には呆れたメイドのルリの顔。
「んー……、ふえっ?!?!」
驚きで目が覚め、キョロキョロと周りをみわたすと、いつの間にか馬車の窓から見えるのはきらびやかな夜会の会場の目の前だった。
「…はぁ…リリィ様、そんなにお美しいお姿をされているのに、なんて姿を晒しているのですか…。馬車を降りる前にドレスも髪も綺麗になおしますよ」
寝相が悪かったせいでドレスがめくれ上がっていて私の足は丸見えだ。
「…えへへ…寝相だけは中々なおらなくて〜」
「そもそも夜会に向かう馬車で眠るのは、お辞め下さい」
いつも注意をたくさんしてくるけど、ルリはいつだって呆れながらもずっと一緒にいてくれてとても優しいの。