今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜




一週間後。

東京のオフィス。



「おかえりなさい」



エレベーターを降りた瞬間、
快浬さんがいつもの穏やかな笑顔で立っていた。



「ただいま戻りました」



「いい顔をしています」



「そうですか?」



「はい。〝ちゃんと休んできた人の顔〟です」



会議室に入ると、わたしはノートを開いた。



「お土産、たくさん持ってきました」



「楽しみにしていました」



母の話。

父の話。

近所のおばあちゃん。

元カレの〝近すぎる同線〟の話。

快浬さんは、
一つ一つを丁寧に聞きながら、メモを取る。



「つまり――」



ひと通り聞き終えたあと、
快浬さんがまとめるように言った。



「〝今日はここまでライト〟に——」



「〝ちょっとした気遣い〟が、必要だと」



わたしは、強くうなずく。



「ライトが〝ここまで〟を決めてくれて、人が〝ここから〟を選べる場所」



「そこに何を置くか、どう過ごすかは、全部その人次第でいい」



「それは、とても暁らしい〝次の一手〟だと思います」



快浬さんの目が、少しだけ熱を帯びる。



「〝終わりの自信〟の次に、〝ここからの余白〟を提案するキッチン」



会議室のホワイトボードに、新しい文字が並ぶ。



『新商品コンセプト案仮:Calma《カルマ》――〝今日はここまで〟のあと、〝ここから〟を灯すキッチン』



地元で拾ってきた言葉たちが、
新しいプロジェクトの輪郭を描き始めていた。
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