今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「本日はお越しいただきありがとうございます。開発本部長の久遠快浬です」
快浬さんが、
いつものように落ち着いた挨拶をする。
「今日は、〝仕事帰りでも作れる二十分ごはん〟をテーマに、〝今日はここまでライト〟を実際に体験していただきます」
参加者から、ぱらぱらと拍手が起きる。
「こちら、企画担当の春日が、皆さんのサポートをいたします」
紹介されて一礼したところで、玲奈さんが手を挙げた。
「はい、質問いいですか?」
「どうぞ」
「このライト、〝彼氏が手伝ってくれない問題〟に発展しませんか?」
会場がどっと笑いに包まれる。
「たとえば、〝ここまでやったら今日はOK〟って光が教えて、自動で洗浄してくれるから負担は減るけど、その分〝俺はしなくてもいいでしょ〟って何もしてくれなくなる気がしますー」
玲奈さんの視線は、明らかに快浬さんに向いていた。
「……〝彼氏が手伝ってくれない問題〟全般に発展するかどうかは、今後の研究課題とさせてください」
快浬さんが、少しだけ苦笑しながら答える。
「ただ、負担が減る分〝無理をしない〟というラインを、家族で線引きしやすくすることはできると思います」
「さすが。そういうとこは、昔から変わんないよね。ちゃんと〝言葉〟で説明してくれるとこ」
玲奈さんは、わざとらしく頬杖をつきながら言う。
その表情は、
完全に〝かつての彼女〟そのものだった。
——……あの距離感、何。
わたしは、
説明用のボウルを手に取りながら、
自分の中で何かがざわざわと暴れ出すのを感じていた。