今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
調理が中盤に差しかかったころ。
玲奈さんのテーブルから、
少し慌ただしい声が聞こえた。
「あっ、やば、焦げた」
フライパンから立ち上る煙。
火加減を強くしすぎたらしい。
「こちらで対応します」
ショールームスタッフが駆け寄ろうとした瞬間、
快浬さんが一歩前に出た。
「春日さん」
「はい」
「ここのフォロー、お願いできますか」
名前を呼ばれ、わたしはすぐに駆け寄る。
「火、いったん止めますね。大丈夫です、ここまでならリカバーできます」
焦げた部分だけを丁寧に外し、
残りの具材を一度皿に避難させる。
「油を替えて、もう一回同じ味付けでいきましょう。焦げの香りがちょっと残ってても、〝香ばしい〟ってことにしましょう」
冗談めかして言うと、
玲奈さんが少しだけほっとした顔をした。
「ごめんね、なんかドジって」
「いえ。料理教室って、こういう〝失敗のリカバー体験〟も含めてだと思うので」
その返事に、
快浬さんがわずかに口元をゆるめるのが見えた。
「……やるじゃん」
玲奈さんが小声でつぶやく。
「〝この人の隣でバタバタしてる新人ちゃん〟って聞いてたけど、ちゃんと〝対応ができる人〟って感じする」
さっきまでのマウントとは、
少し違うトーンだった。