今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
料理がほぼ完成し、
『今日はここまでライト』が、
各テーブルでふんわりと点き始める。
「じゃあ、〝今日はここまでライトを体感してみてください〟」
わたしは、参加者に声をかけながら、
シンク周りを回っていく。
「完全には汚れは落ちないけど、手伝ってくれてる気がして助かる」
「一人じゃない気がして、気分も悪くないかも」
ライトの光が、
それぞれの〝家族〟に寄り添うように灯る。
そのとき。
「ねえねえ」
中年の女性参加者が、
にこにことわたしに話しかけてきた。
「お二人って、付き合ってるの?」
「え」
思わず、
手に持っていたスポンジを落としそうになる。
「さっきから見てたけど、息ぴったりだし、〝ここフォローお願い〟って目線だけで通じてるから」
「すごく〝いいカップル〟だね」
別の参加者も笑う。
「いや、その……」
うまく否定の言葉が出ない。
その横で、快浬さんが少しだけ咳払いをした。
「私と春日さんは、暁の開発チームとして――」
「〝チームとして〟付き合ってるってことね」
参加者が、悪戯っぽく言葉をかぶせる。
「仕事仲間以上、恋人未満、みたいな?」
会場が、どっと笑いに包まれる。
「……そうですね」
快浬さんが、ふっと笑った。
「今のところは、〝仕事仲間以上〟という表現が、一番近いかもしれません」
その言い方は、
はっきりと〝恋人未満〟だけは否定しているように聞こえた。
わたしの頬が、一気に熱くなる。
「ほら、見て」
別の参加者が、友人の腕をつつく。
「ライトの光より、あの二人のほうが〝今日はここまで〟って感じ出てない?」
「〝このあたりで止めておかないと、くっついちゃうから〟みたいな?」
冗談混じりの声に、
会場の空気はすっかり和んでいた。