今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜

片づけもひと段落し、
参加者が試食タイムに入ったころ。



「春日さん」



玲奈さんが、皿を手にしたまま、
わたしの隣に立った。



「さっきは、ごめんね。変に昔話、引っ張り出して」



「いえ……イベント、楽しんでいただけていたなら、何よりです」



本音を飲み込みながら、無難な返答をする。



「うん、楽しかった。〝ここまでライト〟、思ったよりよかったし」



玲奈さんは、
吊り戸棚の下の小さな光を見上げる。



「〝無理はしないで、一人じゃない〟って感覚、なんか分かる気がした」



その言葉は、素直だった。



「それに」



玲奈さんは、ちらりと快浬さんのほうを見る。



「この人、昔よりずっと〝誰かに頼る顔〟になってる」



「……一緒に、ですか」



「うん。前はなんでも一人で背負い込んで、〝俺がなんとかする〟って感じだったから。たぶん、そういうとこが、私にはちょっと重かったんだと思う」



わたしは、返す言葉を見つけられなかった。



「だから、今日はちゃんと分かった」



玲奈さんは、穏やかに笑う。



「〝今の快浬の隣〟に相応しかったのは、私じゃなくて、あなただな、って」



胸の奥で、何かが静かにほどけていく。



「でもさ」



玲奈さんは、少しだけ意地悪そうに微笑んだ。



「〝付き合ってるわけじゃないです〟って顔してるうちは、他の人にちょっかい出されても文句言えないからね」



「っ……」



「ちゃんと、〝選び合う〟って決めたほうがいいよ。仕事のパートナーも、恋愛も」



そう言って、
玲奈さんは自分のテーブルに戻っていった。
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