今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜

午前中いっぱい。

内線、社用スマホ、自宅。

関係各所に連絡を入れても、
快浬さんと直接つながることはなかった。



「工場にも来ていないそうです」



総務からの一報が共有される。

その瞬間から、開発フロアの空気は、
目に見えて変わった。



「シェア一位、結局キープできなかったからお終いだから、もしかして……」



「上からのプレッシャー、相当だったって聞くしね」



ひそひそ声が、あちこちで生まれる。



「まさかとは思うけど、〝逃げた〟んじゃないよな」



誰かの言葉に、
近くにいた若手が、思わず笑いを漏らす。



「あー、〝坊ちゃんプロジェクト〟の尻拭いが怖くなって?」



「だってさ、シェア一位っていっても僅差だし。来期落ちたら、〝やっぱりまぐれでした〝って言われるの、目に見えてるじゃん」



その会話を、わたしは複合機の陰から、
はっきりと聞いてしまった。

手に持っていたコピー用紙の端が、
ぐしゃりと折れる。


——快浬さんは絶対に逃げる人じゃない。


心の中で、何度も繰り返す。


——誰よりもキッチンに熱い思いを持って、
夜中まで残ってた日の、あの背中。


わたしは知ってる。

込み上げてくる感情を押さえ込むように、
ゆっくりと呼吸を整えた。

と、そのとき。
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