今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「もしかして、〝プランB〟が関係してるんですかね?」
電話の向こうで、一瞬だけ間が空く。
「……やっぱり、聞いてるんだね、プランBのこと」
「少しだけ、ですけど」
美桜さんは、小さくため息をついた。
「詳しい中身までは、私も最近まで知らなかったんだけどね。今、〝好感度爆上がり中の夫婦を、暁のCMに起用したい〟って話がでてるみたい」
「知らなかった……」
「何度も断られているらしいんだけど、それでも諦めきれないらしくてさ、〝もう一回だけ、直接話をさせてくれ〟って。ここしばらく、水面下で動いてたみたい」
わたしの中で、点と点が、線でつながり始めた。
「じゃあ、今は――」
「たぶん、どこかでその二人と話してる。か、話すための準備で、悪戦苦闘してるかだと思う」
美桜さんの声色が、少し柔らかくなる。
「〝逃げたんじゃないか〟っていう声も、そろそろ出てきてるでしょ」
「……はい」
「違うよ。あの子は、〝逃げる〟なら、もっと上手に逃げるから」
「もっと上手に?」
「うん。痕跡消して、誰にも迷惑かけないように逆算してから、きれいにフェードアウトするタイプ」
その言い方に、わたしは思わず苦笑した。
「だから、今のこの〝中途半端な消え方〟は、むしろ〝本気で何かにぶつかりに行ってる〟感じがする」
「……そうなんですね」
「小春ちゃん」
「はい」
「快浬が戻ってきたとき、〝あんた、最低だよ〟って怒る人は、きっといっぱいいると思う」
それは、予告にも近い言葉だった。
「でも、〝よく帰ってきたね〟って最初に言ってあげる人は、たぶんそんなに多くない」
心臓の奥を、ぎゅっと掴まれたような気がした。
「だから、勝手なお願いなんだけどさ。その役、できれば小春ちゃんにやってほしい」
「……もちろん、そのつもりですよ」
それは、決意というより、
自然に口から出た返事だった。