今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜



予約したのは、
会社から数駅離れたところにある、
小さなビストロだった。

ビルの高層階でも、ホテルのラウンジでもない。

通りの街路樹が見える、静かな窓際の席。

オフホワイトのテーブルクロスに、
控えめなキャンドル。



「思ったより、ちゃんとしたお店ですね」



快浬さんは、周囲を見回してから言った。



「ちゃんとしたお店じゃ、ダメでした?」



「いえ。〝打ち上げ〟というより、〝お疲れさま会〟という言葉のほうがしっくりきます」



「じゃあ、〝お疲れさま会〟で」



メニューを開くと、
前菜からデザートまでのコースが並んでいる。



「何か、食べられないものはありますか」



「特には。強いて言えば、〝冷えた茶碗蒸し〟くらいです」



「それは、誰でも嫌だと思います」



ほとんど同時に笑って、
ふたりとも同じコースを頼んだ。

グラスには、
ノンアルコールのスパークリングジュース。



「お酒、飲んでもよかったのに」



「今日は、〝言葉を選べなくなる〟リスクは避けたいので」



「真面目ですね」



「春日さんこそ。今日は、よく眠れそうですか」



「たぶん、――いい夢見られる気がします」



そう言ってから、自分で少し照れた。
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