今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
リビングのソファに並んで座る。
テレビでは、
録画してあった情報番組が流れていた。
画面の中で、かつての料理教室の様子が映る。
「この回、反響すごかったですよね」
「〝キッチン王子〟という、ありがたいけれど居心地の悪いあだ名が世に曝け出された回ですね」
「隣にいた〝企画女子〟のほうが、視聴者の心をつかんでたと思いますけど」
「その評価は、僕のほうがうれしいです」
ふと、静かな間が生まれる。
さっきまでにぎやかだったテレビの音も、
今はほとんど耳に入ってこない。
——こんなふうに、
何もしないで並んで座ってるだけなのに。
——どうして、こんなに満たされるんだろう。
ソファのクッションがへこむきわで、
お互いの体温が、わずかに伝わり合う距離。
やがて、快浬さんが小さく息を吸った。
「春日さん」
「はい」
「仕事の話は、さっきライトが〝ここまで〟にしてくれましたが」
「一つだけ、〝これから〟の話をしてもいいですか」
その言い方に、わたしは自然と姿勢を正した。
「僕は、多分、これからもずっと仕事が好きで面倒くさい案件を、面倒くさいと言いながら噛み砕いていくのが、きっとやめられないと思います。そんな自分のことを、〝やれやれ〟と思いつつも、それでも一緒にいてくれる人と暮らしたい」
視線が、ゆっくりとこちらを向く。
「その相手に、春日さんがいてくれたら、とても心強いです」
「……それは、」
「もちろん、いきなり全部を決める必要はありません」
「ただ、〝いつか春日さんと作る未来〟も、どこか頭の片隅に置いておいてもらえたらうれしい、という話です」
それは、プロポーズでも同棲の誘いでもない。
けれど、はっきりと『未来』の話だった。