今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「それから――」
わたしは、
使い込んだタブレットを取り出した。
「ライトが点くタイミングは、洗い物の量によって微調整できるようにしています」
「量?」
「はい。〝少なすぎず〟、〝多すぎず〟無理をしないラインにしたくて」
その説明に、選手の妻がふっと笑った。
「なんか、おふたりが話してるの聞いてると、もう〝夫婦〟みたいですね」
ぽん、と。
何でもない調子で、爆弾みたいな一言が落ちた。
「えっ」
「えっ」
わたしと快浬さん、完全にハモる。
「あれ、ご夫婦じゃないんですか?」
選手本人も、
心底不思議そうな顔で首をかしげる。
「CMの資料見たときから、てっきり〝開発者夫婦〟だと思ってました」
「ち、違います。えっと、その」
わたしの声が裏返る。
「僕たちは、会社の……」
快浬さんが、かろうじて体裁を整える。
「ただの、上司と部下です」
〝ただの〟という言葉に、
自分でわずかに引っかかっているのが分かった。
そのニュアンスを、
目の前の〝夫婦のプロ〟が見逃すはずもない。
「〝ただの〟ねえ」
妻が、にやっと口角を上げる。
「ねえ、これ、撮ってる?」
近くにいたメイキング担当のカメラマンに声をかける。
「もちろんです。すごくいい画になってます」
「のちのち、〝あのときからすでに〟って言われるやつですね」
「やめてください」
わたしは、耳まで真っ赤になりながら、
タブレットを抱きしめるように胸に押し当てた。