今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
休憩時間。
控室代わりの小さなスペースで、
四人は紙コップのコーヒーを手にしていた。
「開発の方が現場にいてくれるの、すごく心強いですね」
選手の妻が、しみじみ言う。
「このライトの話、台本だけ読んだときより、実物見たほうがずっと〝分かる〟って感じがしました」
「そう言っていただけると、うれしいです」
快浬さんが、少し照れたように笑う。
「特に、〝家族の時間を守る〟っていうフレーズ。あれ、すごくいい」
「ありがとうございます。春日さんの言葉です」
「えっ、そうなんですか?」
わたしは、慌てて首を振る。
「いえ、私だけじゃありません。チームみんなで考えた中の一つで」
「でも、最初に〝ちょっとした気遣いが欲しい〟って言ったのは、春日さんですよ」
さらっと、快浬さんが暴露する。
「〝完璧なキッチン〟じゃなくて、〝無理をしなくてもいいと思えるキッチン〟が欲しいって」
そのときの会議室の光景が、
鮮やかによみがえる。
「なんか、聞いてるだけで胸が楽になる言葉ですね」
妻が、ぽつりと言う。
「ねえ」
彼女が、隣の夫の腕をつつく。
「〝家族の時間〟もっと欲しいよね、うちも」
「欲しいね。特にあなたには」
「そうそう。私、どこまでもやっちゃうタイプだから」
その会話に、わたしは思わず笑ってしまう。
「すごく、分かります」
「分かる顔してましたね、さっきから」
妻がじっとわたしを見る。
「〝全部やらないと寝ちゃいけない気がする病〟でしょ」
「はい……」
「で、隣で〝もういいよ〟って言ってくれる人がいると、やっと〝ここまで〟って思える」
「はい」
完全に図星だった。