今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「じゃあ、もうスピンオフ撮りましょうよ」
「スピンオフ?」
妻の瞳が、きらりと光る。
「〝キッチン王子と、企画女子さん〟」
「なんですか、そのタイトル」
「本編が〝国民的サッカー選手夫婦〟で、スピンオフが〝暁キッチンの開発者夫婦〟」
「夫婦じゃないです」
わたしと快浬さん、またもやハモる。
「でも、もしおふたりが結婚したら、めちゃくちゃリアルな〝共働き夫婦CM〟撮れそうですよね」
さらっと未来形が差し込まれて、
空気が一瞬固まる。
先に口を開いたのは、快浬さんだった。
「そうですね」
ごく自然に、当たり前のような顔で。
「そのときは、〝ここまでライト〟の次の企画も、ふたりで持っていきます」
一瞬、誰よりもわたし自身が驚いた。
——今、〝そのときは〟って。
妻が、にやりとする。
「ほらやっぱり。こういう未来の話を、抵抗なく〝ふたりで〟って言えちゃうあたりが、すでに夫婦感なんですよ」
その言葉に、わたしは何も返せなかった。
ただ、
胸の奥で、静かに何かがうれしく鳴っていた。