今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜



シェア一位が『暁一強』と新聞に書かれた日。

開発フロアには、その記事のコピーが回ってきた。



『キッチン市場、暁一強へ』



『〝家族の時間を守る〟が共働き世代をつかむ』



わたしは、その見出しをじっと見つめる。



「すごいね」



背後から、美桜さんの声。



「〝僅差の一位〟どころか、〝暁一強〟だって」



「記事になると、現実感が増しますね」



「ねえ、小春ちゃん」



「はい」



「〝逃げたんじゃないか〟って言われてた人のそばに、ずっといてくれてありがとね」



不意打ちの言葉に、わたしは目を瞬いた。



「……私なんて、何も大したことは」



「あるよ」



美桜さんは、はっきりと言う。



「あの人が、〝逃げなかった〟って言えるのは、〝帰る場所がある〟って分かってたからだよ」 



〝帰る場所〟。

その言葉が、静かに胸に落ちる。



「その〝場所〟のひとつを、小春ちゃんが作ってくれたんだと思う」



「だから、ありがとう」



そう言って、美桜さんはにっこり笑った。
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