今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜

昼休み、
会議室に集まった三人で、
白板はあっという間に矢印と数字と付箋で埋め尽くされた。



「標準ラインの〝使用感〟を構成する要素を分解してみましょう。開閉の滑らかさ、静音性、耐久年数、見た目、触感」



「それぞれに対して、お客様アンケートとクレーム履歴のデータを引っ張って、どれが満足度に一番効いているかを見ます」



「さらに、製造コストに対する寄与度合いを測定してみれば、〝少ないコストで大きな満足を守るポイント〟が見えてきますね」



快浬さんは、黙々とフローを書きながら、
わたしの提案に的確な補足を加えた。

その横顔を見て、わたしは思った。

頑固というより、必死なんだ。

父の会社を守るために、
感情より数字を優先するしかなかったのかもしれない。

その冷たさの裏側に、
焦りと責任感が渦巻いていることが、
ふと伝わってくる。



「……どうしましたか」



不意に快浬さんの視線が飛んできて、
わたしは慌てて首を振った。



「いえ、すごいなと思って。ロジックの組み立て方が、とてもきれいで」



「そうですか?」



「はい。私、感覚で話しがちなところがあるので、見習いたいです」



快浬さんは少しだけ目をそらし、
ペン先で白板を軽く叩いた。



「お世辞を言っている余裕があるなら、次のステップを考えてください」



そう言いながら、口元がほんのわずかに、
緩んでいるように見えた。
< 22 / 200 >

この作品をシェア

pagetop