今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜

レッスンの最後。

皿に盛られた鶏肉とレモンの煮込みを食べながら、
アンケートに記入してもらう。



「このキッチンで、特にいいと感じたところを教えてください」



わたしが設計した問いに、
参加者たちはペンを走らせる。



『片づきやすさ』



『シンク周りの高さ』



『引き出しの定位置表示』



『コンロ前の板』



『ごちゃっとしない』



『終わったあとの景色』……。



回収したアンケートをぱらぱらとめくりながら、
わたしはページの端で指を止めた。



『料理は得意じゃないけど、〝散らからないで終われる自信〟が持てました』



その一文を見た瞬間、
胸の奥で何かがカチリとはまる感覚がした。


――そうか。


わたしの頭の中で、
『片づき終わりの光』という言葉が、
浮かび始める。

それは、ただのインジケーターではない。



『今日もちゃんと終われた』『散らかった一日でも、
最後は整えられた』という、
小さな自己肯定の証。

料理教室という〝実験場〟で暮らしの声を聞くことで、
新商品のヒントや潜在ニーズを探るやり方は、
実際の企業の開発現場でも行われている。

今、
自分もまさにそれを体験しているのだと思うと、
背筋が少しぞくりとした。
< 41 / 200 >

この作品をシェア

pagetop