今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
レッスンの最後。
皿に盛られた鶏肉とレモンの煮込みを食べながら、
アンケートに記入してもらう。
「このキッチンで、特にいいと感じたところを教えてください」
わたしが設計した問いに、
参加者たちはペンを走らせる。
『片づきやすさ』
『シンク周りの高さ』
『引き出しの定位置表示』
『コンロ前の板』
『ごちゃっとしない』
『終わったあとの景色』……。
回収したアンケートをぱらぱらとめくりながら、
わたしはページの端で指を止めた。
『料理は得意じゃないけど、〝散らからないで終われる自信〟が持てました』
その一文を見た瞬間、
胸の奥で何かがカチリとはまる感覚がした。
――そうか。
わたしの頭の中で、
『片づき終わりの光』という言葉が、
浮かび始める。
それは、ただのインジケーターではない。
『今日もちゃんと終われた』『散らかった一日でも、
最後は整えられた』という、
小さな自己肯定の証。
料理教室という〝実験場〟で暮らしの声を聞くことで、
新商品のヒントや潜在ニーズを探るやり方は、
実際の企業の開発現場でも行われている。
今、
自分もまさにそれを体験しているのだと思うと、
背筋が少しぞくりとした。