今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
ソファーテーブルの上には、
暁キッチンのカタログが数冊と、
タブレット端末が一台。
「前の会社のことは、少し伺っています」
社長が、柔らかな声で切り出した。
「インテリア系スタートアップで、収納や家具の企画をされていたとか」
「はい。小さな会社でしたが、その分、お客様の声をすぐに反映できるのが楽しくて……楽しくて、怖くもありました」
「怖い?」
「失敗したときの距離も、近いので」
一瞬、自分の声が少し震えたような気がした。
小さなオフィスの、あのざらついた空気。
投資家の顔色。
急に変わった企画の方向性。
社長は、
そんなわたしの表情をじっと見て、
ふっと目元を細めた。
「でも、あなたは逃げなかった」
「え?」
「会社が空中分解しかけている中、最後までユーザーインタビューを続けていたそうですね。ヘッドハンターからその話は聞いています」
胸の奥がドクンと鳴った。
あのとき、
自分がやってきたことを『逃げなかった』と言ってもらえるとは思っていなかった。