今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「ええと……春日さん」
「は、はい」
「うちの会社は、決して派手な業界ではありませんが、あなたのように〝暮らしの言葉〟を拾える人を迎えられたことは、暁にとって大きな幸運だと思っています」
歓迎会の挨拶はエピソードを一つに絞ると伝わりやすいと聞くが、
快浬さんはまさにそうしていた。
「先日の料理教室で、アンケートにあった〝散らからないで終われる自信〟という言葉。あれを引き出せたのは、春日さんが片づけの視点を持ってくれていたからです」
その一言に、
わたしの喉が詰まりそうになる。
「これから、開発と企画の間で大変なことも多いと思いますが、一緒に、〝今日もここまでやれた〟と胸を張れるキッチンを作っていきましょう」
「……はい」
かろうじて声を出す。
さっきまで胸の中でうごめいていた、
もやもやした嫉妬や不安が、
少しだけ形を変えた気がした。
――ここで、ちゃんと見てもらえている。
そう思えるだけで、
『部の歓迎会』は、
ただの飲み会以上の意味を持って、
わたしの記憶に刻まれていった。
歓迎会がお開きになり、人の波が駅のほうへ流れていく。