今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
*
そのニュースは、月曜の朝いちばん、
社内チャットに貼られたリンクから始まった。
「見ました?」
「やばくない?」
「うち、完全にかぶってない?」
リンク先には、
大手競合メーカーによる新キッチンシリーズの特集記事が踊っていた。
『家事を半分にする新しいキッチン体験』
『AI搭載で、片づけの手間を見える化』
キャッチコピーのひとつひとつが、
暁が『今日はここまでライト』で目指している世界を、
別の言葉で先回りしているように見える。
——あ……
わたしは、モニターを見つめながら、
喉の奥がからからに乾いていくのを感じた。
「春日さん」
背後から、快浬さんの声がした。
「はい」
「役員会議が前倒しになりました。新シリーズへの対応と、我々の開発状況の報告を求められています」
いつもより、ほんの少しだけ目の奥が鋭い。
でも、声は落ち着いていた。
「〝緊急〟ってつく会議で、ろくなこと言われた試しないですけどね」
高梨さんが苦笑いしながら席を立つ。
「春日さん、資料の最終版、一緒に確認しとこう」
「はい」
朝のオフィスに、
じわじわと不安の波が広がっていく。
その中心に、
自分たちのプロジェクトがあるのだと、
わたしは痛感していた。