今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
「失礼します」
気づけば、口が勝手に動いていた。
「春日さん」
快浬さんが、わずかにこちらを見る。
「テストユーザーの方々は、ライトがあることで、片づけの完了率はあまり変わらなくても、〝自分を責める時間が減った〟とおっしゃっていました」
会議室の視線が、一斉にわたしに集まる。
「〝またやり残した〟〝私ってだめだな〟って思う夜が減るなら、その分だけ、〝明日もこのキッチンで頑張ろう〟って思える」
声が少し震えているのを、
自分でも分かっていた。
それでも、引くわけにはいかなかった。
「その〝明日も使おうと思えるキッチン〟を作ることが、長期的なブランド価値とリピートにつながると、私は信じています」
「信じる、ねえ」
営業常務が、鼻で笑う。
「発想は斬新だが、考えが若いんだよ」
その瞬間。
「私は、その〝信じる〝を応援したいがね」
社長の低い声が、テーブルの端から響いた。
「少なくとも、〝また失敗するんじゃないか〟と揶揄するだけでは、新しい価値など、生まれようもない」
常務は、一瞬だけ口を閉じる。
「快浬」
「はい」
「お前は、前回の失敗から、何を学んだ?」
「〝自分の理想を押しつけるのではなく、暮らしの言葉から設計し直す必要がある〟と」
「ならば、それをやってみせろ」
父と息子。
社長と本部長。
役職を越えた絆のようなものが、
一瞬だけ垣間見えた。