今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜

快浬さんは、マグカップをテーブルに置いた。



「まず、これを飲んでください。スポーツドリンクを少し温めたものです。身体が冷えていますから」



「……ありがとうございます」



マグカップを両手で包み込むと、
じんわりと温かさが伝わってくる。

ふと、リビングの隅に目をやると、
小さな子ども用のおもちゃが片づけられていた。

棚には、
料理本と会社の技術資料がぎっしり並んでいる。



「おもちゃ……?」



「あー、甥のです。姉がよく連れてくるので」



「美桜さんの……」



「はい。姉も春日さんがオフィスで倒れたと聞いて、心配していましたよ」



そこで、快浬さんはふっと視線を落とす。



「まあ、私も、ですが」



「え?」



「会議室から救護室までの間、心拍計が壊れたのかと思うくらい春日さんのことが心配でした」



冗談とも本気ともつかない言い方。

でも、その目はどこか本当に動揺した痕跡を残している。



「……すみません」



今度は、自然にその言葉が出た。



「謝るべき相手は、自分の身体です」



穏やかに、しかしきっぱりと言われる。



「〝片づき終わりの光〟のコンセプトは、〝ここまででいい〟と自分で線を引くためのものでしょう。開発をしている本人が、それを守れないのは、少し皮肉な話です」



「……返す言葉もないです」



苦笑すると、快浬さんもわずかに口元をゆるめた。
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