今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
目を閉じかけた、その瞬間。
「ただいまー。って、あれ?」
玄関のドアが開く音と、明るい声が重なった。
「……え」
わたしと快浬さん、同時に固まる。
廊下から顔をのぞかせたのは、
美桜さんだった。
「あちゃー、やっぱり。なんか、いいムードになってる気がしたんだよね」
にやり、と分かりやすく笑う。
「姉さん」
快浬さんの声が、わずかに低くなる。
「いやいや、弟くんよ。〝熱出して倒れた小春ちゃんを、自宅で看病してる〟って聞いたら、そりゃお姉ちゃんとしては様子見に来るに決まってるでしょ」
そう言って、部屋の中にずかずか入ってくる。
「小春ちゃん、大丈夫?顔色、さっきよりだいぶ良くなってる」
「あ、はい。大丈夫です……」
さっきまでの空気が、
一気に霧散《むさん》していく。
快浬さんは、軽く咳払いをした。
「……とにかく。一週間の休暇は決定事項です。春日さんは実家に帰るなり、好きなことをして過ごしてください」
「でも、プロジェクトが――」
「プロジェクトは、チームで進めます。暁のキッチンは、〝一人だけの仕事〟ではなく、〝チームの仕事〟ですから」
その言葉に、美桜さんが満足そうにうなずいた。
「そうそう。快浬の言う通り。じゃあ小春ちゃん、一週間、〝片づき終わりの光〟のことは一旦忘れてね」
「禁止、ですか」
「うん。代わりに、〝自分の心の光〟をメンテナンスしてきて」
美桜さんにそう言われてしまっては、もう頷くしかなかった。