今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
*
数日後。
わたしは、小さなスーツケースを引いて、
地元の駅に降り立っていた。
ホームに立ちこめる、少し湿った空気。
改札を抜けると、
昔よく通った商店街の看板が目に入る。
「……帰ってきちゃった」
思わずぽつりと言葉が漏れた。
実家に顔を出すと、
母親が驚いた顔で迎えてくれた。
「小春?どうしたの、急に」
「ちょっと、休暇で」
「顔色ちょっと悪いんじゃない。ちゃんとごはんは食べてる?」
「今から食べます」
そう言って笑うと、
母は「まったくもう」と言いながら台所に立った。
実家のキッチンは、暁のものではない。
古くて、シンクも低くて、
収納もあちこち狭い。
それでも、
この家で何度も見た『片づき終わりの景色』が、
わたしの中にちゃんと残っていることに気づく。
——ここで、
〝キッチンに救われてた〟んだなあ、昔から。
そう思いながら過ごすうちに、
少しずつ身体の重さが抜けていった。