今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
テーブルには、
大好物のイカと里芋の煮物に、
ポテトサラダ、卵焼きまで。
「これ、全部朝から?」
「うん、小春が帰ってきたから張り切っちゃった。でも大したことないわよ。ポテトサラダは残り物だから」
さらりと言うけれど、冷蔵庫を見ると、
タッパーがぎっしり詰まっていた。
——〝そこまでしなくていいのに〟って、
口では言うけど、やっぱり作りすぎちゃうんだ。
ユーザーインタビューで何度も聞いた言葉が、
目の前で立体化している。
「ねぇ、お母さん、〝今日はここまででいいか〟って、思える日ある?」
「え?」
母が、箸を止めてわたしを見る。
「家事とか、仕事とか。〝ここまででいいや〟って、自分で線を引ける日」
「んー……」
母は、少し考えるふりをしてから笑った。
「正直、あんまり無いかも。やろうと思えば、いくらでもあるからねえ」
やっぱり。
でも、そのあと、母は続けた。
「でもね」
「最近、〝そこまでしなくてもいいよ〟って言ってくれる人がいてね」
「え?」
「ほら、向かいのおばあちゃん。外の掃除してたら〝いつも大変でしょう〟って笑って手伝ってくれるの」
思わぬ名前に、わたしは目を瞬く。
「人にされる〝ちょっとした気遣い〟って、けっこう救われるのよ。自分では大丈夫だと強がっていても、誰かに寄り添ってもらえると、気持ちも楽になる」
母は、当たり前のようにそう言った。
——〝ライト〟じゃなくても、
〟気遣い〟でもいいんだ。
『今日はここまでライト』に足りていない、
もうひとつの要素が、ふっと浮かび上がる。