今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
ある日の午後。
ふと散歩に出たわたしは、
昔よく友達と会っていた川沿いのカフェに足を向けた。
ガラス張りの店内。
窓際の席に、見覚えのある横顔が見えた。
「……え?」
短く切った前髪、すこし猫背の姿勢。
懐かしい笑い方。
「秋人《あきひと》……?」
思わず名前が口をついて出た。
元婚約者。
大学時代から付き合い、違う夢を見て、途中で別れた人。
「小春?」
向こうも、目を丸くした。
数秒の沈黙のあと、秋人が苦笑する。
「うわ、本当に小春だ。ここで会うとか、ドラマかよ」
「それ、こっちのセリフ」
ぎこちない笑いが、
ふと昔と同じリズムになる。
窓際の席に向かい合って座り、
コーヒーを前にして話し始めると、
時間は不思議と戻っていった。
「東京、どう? 暁キッチンだっけ」
「うん。忙しいけど、楽しいよ。秋人は?」
「俺は、相変わらず工務店の仕事。でも、前より〝無理な夢〟は追わなくなったな」
「無理な夢?」
「ほら、昔さ。二人で独立してブランド作ろうとか言ってたじゃん」
その言葉に、胸の奥がちくりと痛んだ。
「ごめんね。あのとき、私が先に折れちゃって」
「いや、俺のほうこそだよ。ちゃんと向き合わないで、〝仕事と夢を選んだのはお前だろ〟みたいな顔してた」