今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜
帰省五日目の夜。
風呂上がりにリビングへ行くと、
珍しく父がテレビを消していた。
「おう、小春」
「珍しいね、テレビつけてないの。大好きなクイズ番組見ないの?」
「おまえが帰ってきてるからな」
照れ隠しみたいに、新聞をたたむ。
「仕事は、どうだ」
「まあ、忙しいけど。今は経営再建のために、責任重大な新商品開発を任されてる」
「そうか」
父は、ゆっくりとうなずく。
「〝責任〟って聞くと、ついあの頃を思い出すな」
あの頃。
暁がまだ一位から転落して間もない頃、
父もまた、同じ業界の端っこで働いていた。
「おれもさ、あのとき〝責任〟って言葉に疲れて、毎日疲弊してたからな」
「……」
「仕事も、家のことも、どこまでやればいいのか分からなくなるぐらい……」
父は、窓の外の暗い空を見た。
「だから、おまえが経営再建のための〝新商品の開発〟なんてもんを任されているって聞いたとき、正直、羨ましかったよ」
「羨ましい?」
「自分で持てなかった〝自信〟を、次の世代がちゃんと形にして繋げてくれてるってことだろ」
言葉が、静かに染みる。
「おまえのやる仕事、ちゃんと意味があるから頑張りなさい」
その一言は、どんな賞状よりも、重かった。