今日はここまで、ここから一緒に〜君と作る未来〜

数日後。

地元駅のロータリーに、
わたしはスーツケースを転がして立っていた。

東京に戻る日。

母が「駅まで送ろうか」と言ってくれたが、
「大丈夫」と笑って断った。

その時だった。

見慣れたシルエットの車がロータリーに入ってくる。



「……え?」



シルバーのワゴン車。

暁の社有車で、工場に行くとき何度か乗ったことがある。

運転席から降りてきたのは、
スーツではなくカジュアルなシャツ姿の快浬さんだった。



「春日さん」



「か、快浬さん!? なんでここに」



「迎えに来ました」



ごく当たり前のことのように言う。



「休暇の最終日に、こちらの駅にいると、姉さんから聞きましたので」



「美桜さん……」



あの姉は、どこまで見通しているのだろう。



「電車でもよかったのですが、一週間休んだあとの最初の出社が、満員電車では、あまりに味気ないと思いまして」



その言葉に、わたしの胸がきゅっとなる。



「それに」



快浬さんは、少しだけ視線をそらした。



「もし、こちらで〝引き留めたい人〟が現れたら、私なら今日を後悔すると思ったので」



秋人の顔が、脳裏をかすめる。



「……もしかして、美桜さんからいろいろ聞いてます?」



「〝昔の婚約者に会ってるかもしれない〟という情報だけは」



さらりと言われて、わたしは耳まで熱くなる。



「あなたの選ぶ相手に口出しする権利は、私にはありません。しかし――」



快浬さんは、まっすぐこちらを見る。
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