余所者-よそもの-【 2 】


目を閉じれば、すぐに眠りに吸い込まれてしまいそう。

それでもユキが帰ってきたらどうしようって気が気でなくて、目を閉じる気になれない。


そんな私の心の声を読んだかのように、ふっと目を細めた潤が口を開いた。


「なんでユキに会いたくねーの?」

「それは……」

「ユキとなんかあった?」


椅子に座って脚を組み、頬杖を付いた潤が小首を傾げる。

その穏やかな表情と優しい声に、胸に積もり積もった感情がぶわ、と脳内まで溢れて、泣き出したくなった。


――『ここから出て行ってください』



「ユキさんを怒らせてしまったんです。だからきっと今私の顔を見ると嫌な気にさせてしまうと思って」

「なんでユキは怒ったの?」

「それは……」

なんて、言おう。
何から話そう。

言葉に詰まる私に、潤は質問を変えた。


「じゃあ、ユキはどんな感じで怒ってた?」

「……AnBarを出ていけって」


ぽつりと零せば、潤はびっくりしたように目を丸めて固まった。
てっきり潤はこれから根ほり葉ほり聞いてくるものだと思って、私は彼が口を開くのをじっと待った。

だけど潤はしばらくの間私と見合った後、

「………」

静かに天井を仰ぎ、何かを考えている様子だった。


やがてこちらに戻ってきた潤の表情をみて、私は眉をひそめた。
だって、おかしい。

深刻な話として打ち明けたはずなのに、潤のその顔はどこか嬉しそうで、楽しそう。

……私の話、聞いてた?


< 103 / 181 >

この作品をシェア

pagetop