余所者-よそもの-【 2 】
目を閉じれば、すぐに眠りに吸い込まれてしまいそう。
それでもユキが帰ってきたらどうしようって気が気でなくて、目を閉じる気になれない。
そんな私の心の声を読んだかのように、ふっと目を細めた潤が口を開いた。
「なんでユキに会いたくねーの?」
「それは……」
「ユキとなんかあった?」
椅子に座って脚を組み、頬杖を付いた潤が小首を傾げる。
その穏やかな表情と優しい声に、胸に積もり積もった感情がぶわ、と脳内まで溢れて、泣き出したくなった。
――『ここから出て行ってください』
「ユキさんを怒らせてしまったんです。だからきっと今私の顔を見ると嫌な気にさせてしまうと思って」
「なんでユキは怒ったの?」
「それは……」
なんて、言おう。
何から話そう。
言葉に詰まる私に、潤は質問を変えた。
「じゃあ、ユキはどんな感じで怒ってた?」
「……AnBarを出ていけって」
ぽつりと零せば、潤はびっくりしたように目を丸めて固まった。
てっきり潤はこれから根ほり葉ほり聞いてくるものだと思って、私は彼が口を開くのをじっと待った。
だけど潤はしばらくの間私と見合った後、
「………」
静かに天井を仰ぎ、何かを考えている様子だった。
やがてこちらに戻ってきた潤の表情をみて、私は眉をひそめた。
だって、おかしい。
深刻な話として打ち明けたはずなのに、潤のその顔はどこか嬉しそうで、楽しそう。
……私の話、聞いてた?