余所者-よそもの-【 2 】
45話:万年二位の男
――――…
――…
――カーン……、コーン……。
退屈な午前の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
熱気で蒸し暑い教室。
休憩のチャイムなんてお構いなし。
みな競い合うようにノートにかじりつき、カリカリとペンを走らせる。
ギラついた日差し、ギラついた教室。
季節は夏だ。
青臭い夢や希望が入り込む隙間もない、合格への執念と焦燥に満ちた、高二の夏。
ここは県内でも指折りの超進学校。
大学へ行くなんて前提以前の話で、今の時期、皆敷かれたレールをいかに効率的に走り抜けるかしか考えてない。
「………」
俺はそんな暑苦しい集団から逃れるように、教室を出た。
廊下を歩けば、すれ違う誰にも色味がなかった。
定められた髪型、定められた制服、定められた規則通りの生活。
まるで、個性を殺された軍隊。
そんな窮屈な校舎を、俺は風を切って歩いた。
チャラけた茶髪。
耳にいくつものピアス。
制服の下に真っ赤なTシャツを着込んだ俺は、この学校じゃおよそ悪目立ちをする。
野郎は俺とすれ違えば道を譲ったし、女の子は遠目になって熱い眼差しを向ける子が半分。
あと半分はきっと俺のファン。割合は俺調べ。
「あ、潤くん!今からお昼?」
ほら。
俺は呼び止めてきた女の子に「そうだよ」とニッコリと笑って返した。
「一緒に食べない?」
「ごめん、先約があるんだ。また今度」
そう言って、女の子に軽く手を振って別れる。