余所者-よそもの-【 2 】


とある放課後のこと。

俺は女の子でも引っかけようと、歓楽街を一人歩いている時だった。


「さっさと出せよ」


通りかかった路地から、誰かを脅すような男の声が聞こえた。

なんとなく気になって覗いてみると、そこにはなんと。
……あのもっさりメガネが居る。


不良四人に壁際に追い込まれ、鞄を胸に抱えて小さい身体をもっと小さくさせて怯えていた。


「もう、ないよ……」

「アア!?テメ、ナメてんのか!?」

「ひっ!ごめんなさいっ」


おいおい。
がっつりカツアゲの現場じゃねぇか。

なんつーところに出くわしてんだ、俺。


「で、でででも……おととい、渡したばかりだしっ」

「タコよぉ。冗談だよなぁ?」


しかも、今回が初めてじゃないみたいだ。
『タコ』なんてあだ名で呼ばれて。可哀そうに。


「飯代、交通費、参考書代……。タコんちは家が金持ちなんだから、いくらでも言いようあるくねぇ?」

「今月だけでいくら渡したと……言い訳ももう底をついたよ」

「じゃあ。しゃあねえな?」


あーあ。殴られるやつだ。

悪いなもっさりメガネ。
俺は女の子のピンチは救えても、男のピンチには興味がねーんだわ。

嫌なところ見る前に、さっさと帰ろ……


「――…え?」

通り過ぎようと足先の方向を変えた俺の前に、突然、風が駆け抜けた。


振り返れば、


「み、み……瑞生くん?」

なんとそこに、瑞生がもっさりメガネを庇うようにして立っている。

< 113 / 191 >

この作品をシェア

pagetop