余所者-よそもの-【 2 】
とある放課後のこと。
俺は女の子でも引っかけようと、歓楽街を一人歩いている時だった。
「さっさと出せよ」
通りかかった路地から、誰かを脅すような男の声が聞こえた。
なんとなく気になって覗いてみると、そこにはなんと。
……あのもっさりメガネが居る。
不良四人に壁際に追い込まれ、鞄を胸に抱えて小さい身体をもっと小さくさせて怯えていた。
「もう、ないよ……」
「アア!?テメ、ナメてんのか!?」
「ひっ!ごめんなさいっ」
おいおい。
がっつりカツアゲの現場じゃねぇか。
なんつーところに出くわしてんだ、俺。
「で、でででも……おととい、渡したばかりだしっ」
「タコよぉ。冗談だよなぁ?」
しかも、今回が初めてじゃないみたいだ。
『タコ』なんてあだ名で呼ばれて。可哀そうに。
「飯代、交通費、参考書代……。タコんちは家が金持ちなんだから、いくらでも言いようあるくねぇ?」
「今月だけでいくら渡したと……言い訳ももう底をついたよ」
「じゃあ。しゃあねえな?」
あーあ。殴られるやつだ。
悪いなもっさりメガネ。
俺は女の子のピンチは救えても、男のピンチには興味がねーんだわ。
嫌なところ見る前に、さっさと帰ろ……
「――…え?」
通り過ぎようと足先の方向を変えた俺の前に、突然、風が駆け抜けた。
振り返れば、
「み、み……瑞生くん?」
なんとそこに、瑞生がもっさりメガネを庇うようにして立っている。